【占いと巫女とスピリチュアル】矢祭麻衣子エピソードvol.1

スピリチュアル担当

矢祭麻衣子

shape of heart
(2022年時点)

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目次

矢祭麻衣子さんのエピソード集です(読みたいタイトルをクリックしてください)

1988年12月31日

「占い師」麻衣子の誕生

矢祭麻衣子
(幼少時)

矢祭麻衣子は、少しだけ特殊な人間となる。

人とは違った感覚。
いわゆる「スピリチュアルな力」を幼い頃から持っていた。
霊感とは違う。幽霊が見えるわけでもない。

しいて言えば、野生動物の感覚に近い。
身の回りに存在する「何か」を感じ取る能力が、格段に優れていたのだ。

矢祭麻衣子

ただ、それも自然な流れのようにも思える。

出生時、「母子ともに諦めてください」と言われた中、麻衣子だけが生き残った。

神社の宮司の一人娘だったため、巫女として育てられた。

自宅兼神社が山奥であるため、幼い頃の遊び相手は、鹿や猪、狸にリスに野犬だった。
「何か」を感じ取る能力は、彼らから学んだのかもしれない。

ネットキャンバス

父は神事で忙しく、幼い頃の話し相手は、境内にある「ご神木」だった。

小学校に入るまでは、その樹齢200年の杉の木と、普通に会話ができていた。
当時は、その木を「お母さん」と呼んでいた。

父は、プライベートでは寡黙な人だったため、宮司と巫女の関係性のほうが強かった。
小学生の頃には、神社で行われる神職活動は全て覚えてしまっていた。

生まれた時からこんな生活を繰り返せば、特殊な能力くらい身に付くのかもしれない。

とは言っても、麻衣子が自分の能力に気付いたのは、小学校に入ってからだった。

自分にとっては当たり前のことが、他の子達にはできず、理解もされなかったことに驚いた。

自分だけが変わっている」自覚は、麻衣子を地味にさせた。

人口3000人ほどの小さな山間の町だ。
巫女をやっているのは、皆に知れ渡っていて、同級生からは「神の使い」という変な先入観を持たれていたのだから尚更。

しかし、中学に入って自我が急速に発達すると、思ったことや感じたことをすぐに口にしてしまうようになった。

例えば…、

朝、そわそわしている男の子に「気をつけなー。ケガするよー」と言えば、午後に階段から落ちて骨折。

顔色がいつもより悪く見える女の子に「大丈夫? 無理しないで気分悪くなったら保健室に行きなよ」と言えば、すぐに高熱が出て病院へ。

担任の女の先生の目元が優しくなってきたため、「あー先生、結婚するかもねー」とつぶやけば、翌週に結婚の発表が。

問題は、麻衣子にとって「そう見えた」ことが、周りにとっては「そう見えなかった」ことだった。

そのためクラスメイトは、麻衣子を「預言者」と呼んで面白がったり気味悪がったりした。

麻衣子の言葉が全て当たるわけではない。
言葉にできない自分だけの不思議な感覚なのだ。

それでも麻衣子が発する
「何か嫌だ」
「暗い色が見える」
「それでいいと思う」
「ちょっといい予感がする」

などの言葉の端々に、同級生達は一喜一憂した。

次第に、麻衣子は自分の能力について分かってきたこともあった。

「自我が入ってくると精度が下がる」ことだった。

ふと感じたことならば大抵当たるのだが、「当てよう、当てたい」と自我が入ると驚くほど当たらなくなる。

例えば、自分の恋愛など、完全にナビが狂っていた…。

麻衣子が中学3年生の頃には、町中に噂が知れ渡っていた。

「神社の娘の占いが恐ろしいほど当たる…」と。

占いをした覚えは一切ないのだが、噂とはそういう性質をもつのだと理解した。

困ったのは、家にまで人々が訪ねてくるようになったことだった。

初めは仕方なく、感じたことをそれぞれに告げていたが、日常生活への支障が出始めた。

父と娘はどう対応すべきか考えた。考えたが、二人に正解のお告げが降りてくることはなかった。

父親がとった苦肉の策は、麻衣子に神社の「おみくじ」とは別の「くじ」を作らせることだった。
もちろん正式に巫女として祈祷し、神社の信仰や伝統に基づいて文言を記入していった。

狙いは的中し、「麻衣子くじ」は飛ぶように売れた。

そして人々の興味が「良く当たるおみくじ」に移行したおかげで、麻衣子自身が追いかけ回されることはなくなった。

麻衣子が高校生になると、初めて心を許せる親友ができた。

西谷有希子。
隣の市に住む背の高い女の子だった。

学内のテストでは、いつも有希子が1位で麻衣子が2位だったので、ライバル関係でもあった。

有希子は、占いを信じていなかった。
いや、占いに頼らないといったほうが正確か。


だからこそ二人はいつも対等で、自由に自らの考えをぶつけ合った。

麻衣子にとっては、「巫女」としてではなく「矢祭麻衣子」という人間を認めてくれた初めての人間だったかもしれない。

有希子とは、喧嘩もかなりした。

まだ二人とも子供だったから、どちらも間違えていたこともあっただろう。
それでもぶつかり合うことで、少しずつ自分達が成熟していくのを感じていた。


直感的な麻衣子と理論的な有希子。
人の心に興味がある麻衣子と体に関心がある有希子。

対極的な二人は卒業後の進路もバラバラになったが、ずっと親友であり続けた。

生まれた時から巫女という仕事につくことが決まっていた麻衣子。
そこにはずっと閉塞感が漂っていた。

しかし有希子の「占い師として個人活動もしていけば、自由な広がりを持つ」とのアドバイスで視界は開かれた。

元々、占いに興味はあったし、自分の中ではそれが自然なことのようにも思えるようになった。

実際は、いくつか問題や困難もあったのだが、それも有希子が応援してくれたおかげで乗り切れた。

18歳で、占い師としての活動を始めた矢祭麻衣子。

その2年後。

結婚すべきか迷っていた有希子の背中を押したのが、麻衣子の占いだった。

「うん。この人となら結婚したほうがいいよ」

有希子は相変わらず占いを信じていなかったが、「麻衣子の占いだけは信じる」と決断してくれた。

麻衣子はそれがとても嬉しかった。

麻衣子はいつも思うのだ。

自分の占いが、少しでも誰かの役に立ってくれればと。

人の力には限界があるから、背中を押す役に。
人は弱い存在だから、勇気の杖とする役に。
人は迷う生き物だから、コンパスになる役に。

そんな巫女と占い師になりたいと。


-f i n-


出雲美紀

私はネッキャンに入る前から麻衣子先生の占い信者でした! ですからお会いできて本当に光栄なんですぅ

神楽坂美咲

矢祭先輩のルーツ。なかなか興味深いものがありますね

佐々木拓海

うーん、矢祭さんと神楽坂さん、タイプ的には近いですが、人としては真逆なんですよねぇ。うーん…


地元の山祭り

2022年7月25日

当時の日記より


梅雨が明けた。

本格的な夏がやってくる。

そして私は、いよいよ地元の山祭りを意識せざるを得なくなる。

全方位を山に囲まれた小さな町だ。
小学生までは山祭りが「夏の全て」だと感じていた。

毎年、5つの地区から装飾された山車や神輿が、威勢のいい掛け声と共に各コースを巡回する。

小さい頃は、このプロローグの段階で、居ても立っても居られなくなった。

方々の山々から音楽や太鼓の演奏の音が、少しずつ大きく近づいてくるのだ。
エネルギーの高まり以外のナニモノでもない。

山祭り 矢祭麻衣子

見知らぬ地区の未知なる人間や神輿との出会いには心が沸き立った。

自分も皆も伝統的な衣装に身を包んでいるので、別世界に入り込んだかのようだった。

クライマックスは、5地区の人間と神輿が、中央の集会場に集結する瞬間だった。

こんな山奥に400人を超える人間が一堂に集まるのだ。
見ること自体が感激だったし、全員で叫ぶ大音量の神事の際には、毎回、鳥肌が立った。

お祭り ネットキャンバス

そして夜のエピローグ。

容赦ない照り付けが消え、盆踊りが始まる頃になると、周りの様相は一変するのだった。

夕焼けから漆黒の闇へと変化する中、提灯はまるで結界のように盆踊り会場を取り囲む。
その蜜柑色の空間を遠くから眺めれば、会場だけ切り取られ、宙に浮かんでいるようだった。

不思議なのは、人間も一変することだった。

吹き出す汗すらエネルギーに変えてきた子供達は、どこか満足して眠たげになる。

あれほど目が血走っていた男達は、戦いから解放され、目尻が下がった優しい表情となる。

女性もお風呂を挟んで浴衣に着替えてくるためか、少しよそ行きのおすまし顔になる。

周りには屋台が立ち並び、盆踊り特有の楽し気な音楽が流れてくる。

多分、天国はこんな雰囲気なのだろう。

まるで桃源郷のように華やいだ世界だった。

そこは子供達が新しい友情を育む微笑ましい場所であり、大人達が仲間と安堵し労わり合い、笑い合う、優しい空間でもあった。

矢祭麻衣子

だが…全ては遥か昔の思い出だ。

私にとって、25回目となる山祭りが迫っているが、明らかに気乗りしない。

理由はいくつもある。

学生時代、盆踊りの途中にテンションが上がって告白した男から振られたこと。

離婚した元夫3人のそれぞれと参加していた負の思い出。

気楽な子供時代と違い、運営や裏方の役割を担当していること。

それらが少しずつ自分の心にダメージを与えているのだ。

矢祭麻衣子 ネットキャンバス

ただ、一番の問題は「時代」となる。

祭りが「死のうとしている様」を見るのが辛いのだ。

過疎化により、今年の参加予定人数は70人。去年より8人減った。
加えて少子高齢化の波も進み、会場には老人しか集まらない。

あれほど張り切っていた昔の屈強な男達は、今や太陽の光を避けてはため息をつくほど弱くなった。

ましてや、去年までいたあの人が、今年は見れないことを確認する行事となってしまっては、悲しすぎてやり切れない。

私は宮司の娘だが、祭りに関する発言権は弱い。

それでも祭りの存続は、毎年真剣に考えざるを得ない課題だった。

どこかで線を引かなくてはならず、その役割を自分が果たしてもいいと思っている。

矢祭麻衣子 ネットキャンバス

人生、夢か幻か。

小学生の頃、あの別世界に入り込んだような陶酔感。

その祭りが消えることを考えると、切なさと悔しさで胸が締め付けられそうになる。

そんな時、私は必ず自分へ言い聞かせる。

「あの素晴らしい思い出まで消えることはないから安心して」

「あの不思議な感覚を体験できただけでも幸せだったよ、ありがとう」

そしてなぜだろう?
最近、特に思うのだ。何か大きな予感がするのだ。

この山祭りが消滅してしまう前に、私にとって大切な人達に見てもらおうと…。

-f i n-

TOKIO

ヤママツリですか。なるほど彼女の苗字にも、色々な想いが詰まっている気がするヒュー

ハッチ

この14日後に、大切な仲間と出会うワン!


2022年8月8日

麻衣子 VS 皇海

ネットキャンバスのミーティングを終えて帰宅しようとした隼賢介。

コンビニから出てきた2人の女性に気付き、慌てて声をかけた。

ネットキャンバス

「さっきはお疲れ様ーっ。でも、よりによって麻衣ちゃんとスカイが、こんなに険悪な感じになるなんて…」

「険悪?」

矢祭麻衣子が隣の神足悠香にいたずらっぽく尋ねた。

「そうだった? 悠香ちゃん」

悠香は大きく頷いた。

「そうですね。店長は終始心配そうに覗き込んでいましたし、美紀さんの目はずーっと泳いでましたから、雰囲気は最悪でしたねw」

悠香が言い終わると、賢介は少し早口になった。

「麻衣ちゃんは皇海と会うのが初めてだったから、誤解があると思うんだ」

2人が少し険しい顔をしたことに気付いた隼賢介は、否定される前に言葉を続けた。

隼賢介

「あっ、歩きながらでいいよ。私が勝手についていくから」

2人は顔を見合わせたが、すぐに揃って歩き出した。

賢介もそれにならった。

ぶっきらぼうに口を開いたのは麻衣子だった。

「別に誤解はしてないわよ。相性だけ。渡辺君って努力すれば何でも叶うと思っている人でしょ?」

「まぁ、どちらかと言えば…」

「彼みたいなタイプは私を必要としていないし、占いをバカにするようなところもあったわね。ちょっと思いあがっている傲慢な小僧…、フーッあいつは自分のことを神だと思っているのかしら!?」

矢祭麻衣子

悠香が手を叩きながら笑った。

「麻衣子さん、メッチャ嫌っているじゃないですかーw」

賢介が歩きながらも頭を下げた。

「皇海は昔から愛想がないんで申し訳ない。色々不快な思いをさせてしまったね」

悠香も麻衣子に同調するように、少し低い声を出した。

「私は皇海くんと会うのは2回目だけど…。ちょっと人を値踏みしているところあるかなぁ、ランク付けというか…」

「ごめん。まだそうなのか…」

賢介は少し声を大きく出した。

「悠香ちゃん、それ、今度強く言ってやっていいから!」

「帰り際に言ったよ。びっくりした顔してた」

ネットキャンバス

「アハハ、ありがとう」

賢介の笑いを遮るように麻衣子がかしこまった声を出した。

「賢介さん、気にしなくていいんですよ。本当に相性の問題で賢介さんの責任ではありませんから」

「麻衣ちゃん、10年ぶりに敬語使わないでー。怖いから…」

「そう? じゃあザックリでいいんで渡辺君のことを話して。今日が初対面で何も知らないから、正直なところ、好きも嫌いもないんだなぁ」

じゃあ歩きながら、簡単に説明するね。

以下省略

(参考エピソード)  渡辺皇海の秘密

時間にして10分程度だろうか。

謙介の話が終わると、先に口を開いたのは悠香だった。

「なかなか劇画タッチな生い立ちですね。さすがにイメージが変わりました」

麻衣子も続けた。

「いずれにせよ内発的動機が強い人なのね。私は外発的動機を作る仕事をしているから、あまりそういう人と接点が無かったのよね。嫌いだけど逆にいい機会かも」

矢祭麻衣子

謙介は安堵した表情を見せた。

「2人にそう思ってもらえるだけでも良かったよ」

少しの空白の後、麻衣子は視点を上にズラしておどけた声を出した。

「あー、話しているうちに、家に着いちゃったわね」

謙介が首を傾げた。

「あれ? 着いたって、これ私の家ですけど?」

隼賢介

「今日は2人で有希子に会いに来たのよ、って有希子に聞いてないの?」

「ん。そういえば最近、夫婦の会話がない…、いや、きっと私が忘れたんだと思います…。そう、きっとそうだ!そうに違いない…。うん…」

-f i n-

西谷有希子

あなた、ごめんなさい。伝え忘れたの…

富士サスケ

えぇがな、えぇがな

星野彩美

鼻ムッチャ伸びてるがなっ!


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