白金春香
shape of heart
(2022年時点)
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NP | 20 |
A | 15 |
FC | 11 |
AC | 17 |
春香さんのイメージソングです(初期設定で音量が大きくなっている可能性があるので注意してくださいね)
聴きながら読むと春香さんをより知れるんだニャン
白金春香さんのエピソード集です(読みたいタイトルをクリックしてください)
春香の中学時代
白金(町野)春香
(13歳~15歳当時)
桜中学に入学した町野春香。(現姓:白金)
もう4日目となるのに、誰とも会話をしていなかった。
そんな中で行われた体験学習の班決め。
いつも通り1人ポツンと座っているところを長谷川光に誘われた。
光は遠くの小学校から入学してきたと言い、『私もまだ友達がいないからよろしくね』と明るく笑った。
2人はその日から友達になった。
春香にとっては、初めてと言っていい友達だ。
光と共に過ごす時間は春香にとって大切な宝物となっていった。
しかし、春香の心にはずっと大きな不安が付きまとっていた。
過去のトラウマが、光に対する後ろめたさを産み出していたのだった。
ずっと迷っていたのだが、ゴールデンウィークの長い休みに入る直前に、心の内を光に打ち明けた。
小学生の頃、壮絶ないじめに合い、人間不信に陥っていたこと。今でも人と向き合うと、動悸と息苦しさと掌の汗が止まらなくなること。
春香が怖かったのは、過去のトラウマよりも光の反応だった。
「ごめん。気を悪くしないでね。実は、光ちゃんといるこの瞬間もそうなの。動悸が止まらないの…」
「そうなんだ…そうだったんだ…」
神妙な面持ちで聞いていた光がようやく口を開いた。
「本当に辛かったんだね」
光はそう言って春香を抱きしめた。
「あのね。そんなに辛かったらしばらくはダメだと思う。でも安心して。私が必ず治してあげる」
それから光は、朝会った時と夕方の別れ際に、必ず春香をハグするようになった。それが通学路であろうと教室であろうと、所かまわずに。
クラスの男子からは「あいつら気持ち悪ぃー」とからかわれた。
街中では通行人にジロジロ見られた。
それでも光はやめなかった。
正直、春香もハグされている間は恥ずかしいのだが、光の体の温かさが自分に伝わるほどに、人間に対する不信は減っていった。
半年後。
春香はどこにいても安心して光の中に身を委ねることができるようになっていた。動悸や掌の汗も気にならないレベルまで落ち着いた。
面白いもので、その頃には男子も何も言わなくなっていた。
もう当たり前の光景過ぎて、からかい甲斐が無くなったせいもあるだろう。
2人は共に過ごす中で、お互いの友情をどんどん深めていった。
勉強嫌いの光は、春香に毎日のように宿題を写させてもらっていたが、春香にとってはそれすらありがたかった。
自分を必要としてくれる人間の存在が、何もなかった自分にどれだけ自信と勇気を与えてくれたことか!
入学して1年が経った。
光は光速で友達の数を増やしていたというのに、春香には光しか友人はいなかった。
人となかなか接触しようとしない春香を見かねた光は、自らの知恵と経験を伝えた。
しかし…
「ふぅ…。全くピンときてないようね。春香は難しく考えすぎよ」
光は言葉を続けた。
「簡単に言っちゃえば、「うん、うん」を何回か繰り返して たまに「なるほどねー」「そうだねー」を入れて、ここぞという時に「うそだー」というのを1回入れればいいのよw」
「そうなんだ…。分かった! ありがとう!」
春香は大きく頷いた。疑う余地はない。
光のコミュニケーション能力は、神と崇めたくなるほどの憧れだったのだ。
レクチャーを受けた翌日。チャンスが早速到来した。
隣の席の中山初音が、いきなり話しかけてきたのだった。
「春香ちゃんと話すの初めてだよね」
「うん」
「春香ちゃん昨日のテストできた?」
「うんうん」
「私、だめだったんだー。春香ちゃんと違って、私なんかは勉強しても無駄かなって最近思い始めて…」
「うんうんうん」
「ン…」
初音は明らかに不満そうな顔を見せたが、気を取り直したように言葉を続けた。
「ねぇ、春香ちゃんの隣の影山君、最近、春香ちゃんのほうチラチラ見てない? もしかして春香ちゃんのこと好きなのかなー?」
「なるほどそうだねー」
「私、影山君のこと、小学生の頃からずーっと好きだったの。実は私、見かけによらず一途なところあるから…」
「うっそだー!」
顔を真っ赤にした初音が上半身を捻った。そして真後ろを向いて叫んだ。
初音の視線の先には、遠くから心配そうに2人の様子を伺っていた光がいた。
「ひかりー!これは重症よー。仕方ないから私もたまにはリハビリに付き合うわよー」
後から知ったことだが、初音は前日の夜、光から頼まれていたらしい。
『春香は人付き合いが苦手だから、リハビリの意味も込めて、ちょっと話しかけてみて』と。
こうして春香には、2人目の友人ができた。
初音とは高校が別々になるまでの2年間の付き合いだったが、それまでは3人でよく遊んだ。
『買い食い』『プリクラ』『雑貨屋ぶらぶら』
この3つさえできれば何とかなると教わり、2人によく連れ出してもらった。
春香にとって3人で遊ぶことは、全てが新鮮だった。
1人では何でもないことでも、友達となら世界が変わったように輝いて見えることを学んだ。
学校の成績は順調に下がっていったが、春香自身は気にしなかったし、両親もむしろ活発になったことを喜んだ。
文化祭ではエアーバンドを披露した。光がボーカル、初音がギター、春香がベースだった。
卒業間近には、3人で廊下を走り回って、初めて職員室で怒られる経験もできた。
幸せに慣れていない春香にとって、現実を信じられない瞬間は何度か訪れた。
そして現実だと確認する度に、幸福感に包まれるのだった。
入学した時は絶望しかなかった。
しかし今は違う。全てが違う。
だからだろう。
感謝の意味も込めて、「光のような人間になりたい」。そう強く思うようになっていた。
絶望があるところに希望を与えられる人間に。
全ては1人の人間の、何気ない一言から始まったのだった。
-f i n-
まさか春香さんにそんな過去があったなんて…
お二人の強い絆は、この時から作られていたんですね
四十歳の誕生日
当時の日記より
今日は私にとって40回目となる誕生日です。
『春香さん、お誕生日おめでとうございます!』
ありがたいことに、お祝いの言葉が織り込まれたメールやラインが次々と携帯へ届けられてきました。
親族や友人だけではありません。看護師仲間や患者さんからもたくさん頂きました。
私はできるだけ時間を見つけ、その都度、返信をするよう心がけました。
「ありがとうございます。これからも健康に気をつけてがんばります」
「どうもありがとうございます。いよいよ私も40代です。何とも言えない気分ですねw」
「ありがとう。お互いいい歳になっちゃったわね」
「覚えていてくれてありがとうございます。まだまだ未熟者ですが、これからもよろしくお願いします!」
それぞれの関係性に合わせて、様々な文面で送り返すことになります。
多少の手間はかかりますが、これもまた幸せな作業でした。
ただ…光にだけは、短く一文を返しました。
「嫌じゃーーっ!」
本音を言えば、多くの女性は40代になることをあまり喜ばないのです…。
光からの返信は、笑顔の顔文字1個でした。
皆からのお祝いは、純粋に嬉しかったしありがたかったです。
光とのやり取りは、心からスッキリしました。
どちらも私の大切な財産なのです。
-f i n-
その複雑な女心、よーく分かります…
私は春香さんみたいな年齢の重ね方をしたいんですぅ
私は別に40…、えっ何!?
シッ!10代は黙っていたほうがいいよ…
子供の入学式
当時の日記より
今日は我が家の双子君が迎えた、中学校の入学式です。
小学校より遥かに広くなった体育館。
私は色々な方の挨拶を聞いている中、彼らが生まれた時の不思議な感覚を思い出しました。
出産後の病室で2人を眺めていた時。
なぜか夫に憐れみを感じてしまったのです。
私は実際に子供を産んだので、隣の二人が自分の子だと確実に分かります。
では夫はどうでしょう?
夫は100%確信できる術を持たないでいます。
DNA検査をすれば話は早いのですが、微妙な空気になるのを恐れる夫がそれを言い出すことはないでしょう。
そして私がわざわざ言い出すのも、ちょっとおかしな感じになるのです。
一般に、子供に対する愛情が薄いのは男性と言われます。
しかし、実は子供も、いざとなればママの方を選んでしまうのではないでしょうか?
生まれた直後。
多分、父親と子供は、お互いに確信を持てないでいます。
どれだけ抱いても抱かれても、笑いかけても笑いかけられても、子供の匂いと父親の匂い、子供の鼓動と父親の鼓動、その全てに最初は、他人を感じてしまうのかもしれません。
それはもう生物レベルの話です。
心臓の音や匂いも含めた血の繋がりの記憶が、ママのほうに色濃く残っているからだと思うのです。
だから私は決めました。
子供に父親を学習させ、夫には我が子を学習させようと。
私は、退院して家に帰ると、できるだけ子供と夫が触れ合う時間を多くしました。
子供にとって報酬である食べ物や遊びは、できるだけ夫に担当してもらい、子供にとって煩わしい躾の部分に関しては私が担当する。
さらに、褒めたり甘やかすのは夫が、叱ったり厳しく接するのは私が…。
幸い、どんどん父親に似ている部分が心身に出てきて、今や互いに確信はしているでしょうが、それでも私は今日まで、対外的にも、子供の前でも、できるだけ父親をたてるようにしてきました。
それは出産直後に感じた夫の不安そうな目があったからなのです。
過去を思い出している内に、式は滞りなく終わりました。
私は立ち上がったのですが、隣の夫がハンカチで目を拭い、立ち上がれずにいることに気付きました。
子供達がここまで成長してくれた嬉しさもありますが、まだまだお互い不安もありますよね。
夫がゆっくり立ち上がりました。
これからは、少しずつ子供との関係性が変わってきます。
もしかすると夫とは役割が逆になるかもしれません。
私は夫に微笑みかけました。
【私達が、これまで積み重ねてきた絆を信じていきましょうね。大河さん、これからもよろしくお願いします】
-f i n-
何かあったらアドバイスしますよ!
おみゃーまだ童貞じゃろうがーっ!?
ネッキャン初参加時の挨拶
ネッキャンの皆さんのお話は、光からよく聞かせていただいておりました。
ただ、実際に今日、お会いさせて頂きまして、本当に個性の強い方達ばかりで驚きましたw
そしてこんな平凡な私でも、光の推薦のおかげで18人目として、ご一緒できるようになったことは光栄です。
私が皆さんに対して貢献できることは殆どないと思いますが、せめて光の暴走だけは止めますのでw、今後とも宜しくお願い致します。
(拍手!)よろしくお願いします!
トリアージとは?
人の命は平等であってほしい。
白金春香は職業柄、いつもそう思っていた。
しかし、時に人の命は天秤にかけられる。
「トリアージ」
即ち、災害時に多数の傷病者が発生した場合、緊急度に応じて治療優先順位が決められるということだ。
誰しも命の選択などしたくはない。
しかし、現実にその判断をしなければならない時も来る。
そしてここからは、白金春香の夫、大河が実際に体験した話となる。
レスキュー隊員である白金大河は、被災地において必死の救助活動を行っていた。
どれくらいの人を助けただろう。
いつしかチームから離れ、単独行動となっていた大河は、倒壊した住宅の奥で生き埋めになっている人を発見した。
声は聞こえるが近付くことができないのは、家具と柱が行く手を阻んでいるからだった。
すると奥から女性の声だけが届けられた。
「私はまだまだ元気です。痛いところもないし、喉もお腹も大丈夫。だから緊急の人を先に助けに行ってあげて下さい」
「いいえ!まずはあなたを助けてからです!」
「私は次で大丈夫。多分、この奥にもっと早く助けなくちゃいけない人がいるはず。
私はほら、話している内容も喋り方もまともでしょ?」
「はい…」
確かに女性の声には張りがあり、元気そうに思えた。
それでも大河は叫び返した。
「だからと言って目の前のあなたを置き去りにすることはできません!」
「バカッ!あなたは人を助けるのが仕事なのに、トリアージも知らないの? 優先順位は元気な私よりも奥の本当に助けを待っている人達に決まっているじゃない!」
今度の声には怒気さえ含まれていた。
「お願いだから先に行ってちょうだい!私は本当にその次で大丈夫なのよ!」
大河は顔と腰をゆっくりと上げた。
「分かりました。ではその次に来ます」
そして一番の大声を出した。
「必ず来ますからねっ!僕の名前は白金大河と申します!」
「私は大庭みちえだよ。タイガさん、ありがとうね!」
2時間後、大河は応援のメンバー2人を連れて現場へ戻った。
これで家具や柱をスムーズに取り除けるはずだ。
「大庭さーん!お待たせしました!次はあなたの番ですよ。今助けますからね!」
返事はなかった。
「大庭さーん、大丈夫ですかー!?」「大庭さーん!」
何度呼びかけても返事がない。
大河の心拍数は跳ね上がり、必死で目の前の瓦礫をどかし始めた。
30分後、大庭みちえ(71)は、全身がひどく損傷された状態で発見された。
すぐに病院に搬送されたが、死後2時間は経っているとの報告を受けた。
おそらく家が潰れた時点での致命傷だったとのことだ。
その夜、大河は大きな衝撃と後悔から立ち直れずにいた。
こんなことが本当にあっていいのだろうか?
負傷者本人が下すトリアージ。
助かる見込みのない自分より、助けられる可能性のある者を助けろとの逆トリアージ。
人は、瀕死の状態にあって、あれほど気丈な声を出せるものだろうか?
おそらくみちえさんは、最後の力を振り絞って元気なフリの声を出し、その後、息絶えたのだろう。
大河は考え続けた。
確かに人類は、こうやって命をつないできた。
しかし、こうまでして人類を生き延びさせた後に、一体何が待っているのだろうか?
みちえさんを助けられなかった事実。
それだけが今の世界の姿ではないか!?
ふと電話が鳴っていることに気付いた。
携帯には、「はるちゃん」との表示が出ている。
婚約者である町野春香だった。
ふと彼女の口癖が頭に浮かんだ。
「絶望のあるところに希望を」
【あぁ彼女はいつも俺に光を与えてくれる…】
溢れ出てくる涙を拭いながら、大河は電話に出た。
話したいことが山ほどあった。
-f i n-
ご夫婦揃って、命に係わるお仕事をされていますものね…
全ては理屈じゃない気がします