【可愛すぎるピエロ。愛と笑いに生きている】星野彩美エピソードvol.1

お笑い担当

星野彩美

shape of heart
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あやみ

彩美さんのイメージソングです。(初期設定で音量が大きくなっていますので注意してくださいね)

レジーリア

聴きながら読むのもいいノシ~

目次

星野彩美さんのエピソード集です

2008年3月29日

バイバイ「桃夢はるの」

星野彩美
(15歳当時)

星野彩美

「はるのちゃーん!」

「はるのーっ!」

「はッるのッ!はッるのッ!」

観客席からのカーテンコールは、いつまでも鳴りやまなかった。

今日は「桃夢はるの」の引退公演最終日。

まだ15歳という若さで、ムーンショウ劇団を卒業してしまうのを、大勢の観客が惜しんでいた。

ホール

「はるの」の目に涙はなかった。

他にもやりたいことや挑戦したいことがあり、劇団に所属するのは中学までと決めていたからだった。

そのことは、昔から公になっており、観客も皆、分かっていたことだった。

だからこそ「はるの」は、最後まで喜劇役者らしく、笑顔とおどけたポーズで様々な声援に応えた。

その躍動には、9年間やりきった充実感と、これからの長い人生への希望が表現されているように見えた

「私、普通の女の子に戻りまーすっ!」

何度も叫んで、観客席に手を振った。

そう。彼女は1週間後には、高校の入学式を迎える。
本名である「星野彩美」に戻って。

彼女がムーンショウ劇団に入ったのは小学1年生の夏だった。

半年間の研修と稽古を経てからは、「桃夢はるの」として様々な舞台に出演した。

元々が器用で、物怖じしない性格だ。

共演する人には、誰であろうと素直に教えを乞いに行った。
練習熱心で、周りに感謝する姿勢もあったおかげだろう。
大勢の劇団員やスタッフからかわいがられた。

「はるの」の代名詞と言えば、思い切りのいい演技だった。

没我して役に憑りつかれたその様は、観客の目を釘付けにした。

だからこそ早々に「天才子役」や「泣きのプリンセス」の称号を与えられたのだった。

星野彩美

怖いもの知らずで、演技が楽しいだけだった「桃夢はるの」。

そんな彼女に挫折を味わわせたのは「喜劇」だった。

これがとにかくひどかった…。

初公演では誰も笑ってくれず、「こんなにスベリまくった喜劇は初めて見た」と酷評された。

【舞台に立つのが怖い…】

「はるの」は初めてそう思った。

舞台 星野彩美

期待に応えられなかったのは、本人が甘く考えていたせいもある。
「笑い」には自信があり、謙虚さが足りなかったのだ。

家族や友人の中でスベり知らずだったのは、たまたま恵まれた温室だったおかげであり、本当の実力でないことに気付けていなかった。

実際、笑いは難しい。

いざ、「目の前の人を笑わせて下さい」と言われた時、果たして何人がクリアできるだろう?

加えて、思春期に入った彩美には、多少の照れも見えていた。

笑わせることは好きでも、笑われることに多少の抵抗が出てきたのだった。

言うまでもないが、これらを隠し通せるほど、演技の世界は甘くない。

星野彩美

周りからは、「胸が痛くて見ていられない」と同情された。

喜劇を離れて、これまで通り「泣き」の演技を続けるようにともアドバイスされた。

しかし、彩美は逆に喜劇作品を見まくった。
喜劇の世界にどっぷり浸かった。
さらには、寝る間も惜しんで様々なジャンルの笑いについても勉強するようになった。

喜劇の笑いは、偶然やハプニング的に生まれる笑いとは根本的に異なる。
そこにはいくつもの心理的な方程式が存在するのだった。

例えば、構造やタイミング。
それらを緻密に計算した脚本があり、実際に演じきる技術が必要だった。

また、1人でがんばる性質のものでもない。
一緒に演じる仲間たちとの協力やチームワークも、笑いに影響を与える。
さらには「場の空気」も大切で、その意味では観客の人達ですらチームに含まれる。

そう。まさに、それらチーム全員を導いていく力が、主役である「はるの」には求められているのだった。

星野彩美

事実は小説より奇なり?
いや、現実は小説より厳しいなり、だ。

努力し、勉強するほど「はるの」は迷走し、演出家の先生は頭を抱えた。

公演の赤字も膨らみ、中止を促す声も出始めた。

結局、結果が少しずつ出始めるのには1年もかかったのだ。

少しずつ観客からの声援も増え始め、さらにその1年後には、「はるの」は「喜劇嬢」と呼ばれるまでになった。

そう。今や喜劇と言えば「桃夢はるの」なのだった。

星野彩美

人生とは、つくづく面白い。

「はるの」が軌道に乗るほど、今度は「彩美」が難しくなるのだから。

いや、これは彩美に限らず、皆、通る道かもしれない。
誰しも子供の頃は感じなかった葛藤や自己責任の数が、中学生ともなると増えていくものだ。

友達との些細な言い争い、成績のプレッシャー、将来への不安、親との意見の食い違い…。数え上げればキリがない。

【あれ?人生ってこんなに難しかったっけ?】

彩美は何度も首を傾げたものだ。

そしてあまりに考え過ぎて、眠れなかった明け方のことだった。

脳が疲れ果てて呆然としているところへ、これまで「はるの」がお手本にしてきた喜劇王チャップリンの言葉が、ふと流れ込んできた。

「人生はクローズアップで見ると悲劇だが、全体像で見れば喜劇だ」

彩美は思わず苦笑した。

【そうだった、人生も喜劇だったんだw】

喜劇なら今や得意分野に入る。

彩美は、日常のどこをどういじれば面白い喜劇になるかを自分なりに検証してみた。

脚本、演出、主演、それらを1人でこなすことになるので、労力は格段に増えた。
リアルではまだ初心者のため、上手くいかないことのほうが多かった。

それでも彩美は、笑いを探求することを止めなかった。
少しずつ自分の言動を変え始めていった。

「愛と笑いのない人生では生きる価値が半減する」との信念を胸に。

星野彩美

舞台は、再び「桃夢はるの」の最終公演に戻る。

異例とも言える、長く続いたカーテンコールもようやく終わるのだ。

ゆっくりと最後の幕が降り始めた。

歓声と拍手が一段と大きくなった。
舞台の袖では、多くの先輩や仲間が拍手をしてくれている。

【私は、こんなに大勢の人達に支えられ、育ててもらってきたんだ】

さすがの「はるの」も神妙な顔つきになり、頭を深く下げた。

劇団員の人達にも観客の人達にも感謝の想いで一杯だった。

「これまで、本当にありがとうございましたー!」

このタイミングで最高のフィナーレになるはずだった。

…が、「はるの」はそれを打ち消すかのように、目と口と鼻を大きく開き、全身を使って大きな万歳をした。
そして力一杯叫んだ。

「リアル喜劇王にーっ! オラはなるーっ!」

これが本当に最後のパフォーマンスだった。

幕が降り切るまで、小さな体は胸を大きく張って立ち続けた。

星野彩美

舞台は完全に終幕した。

しかし多くの観客は、不思議な感覚の余韻に浸っていた。

幕が降り切るまでの間、「はるの」の終わりと「彩美」の始まりを同時に目撃していたのだった。

寂しさで泣きそうになっていた人達も、「仁王立ちパフォーマンス」によって、強引に笑顔へと変えさせられた。

希望を携えた、明るい引退公演。
こんな形もあるのだと、多くの人がじんわり思いを馳せた。

「さようなら…」というよりは、「バイバイ桃夢はるの!」「がんばれ、星野彩美!」という感覚に近い。

彼女の新しい門出を、皆で笑って送り出せた充実感すらある。

だからこそ皆、「いかにも桃夢はるのらしい引退公演だったねw」と口々に語り合いながら、家路についたのだった。

-f i n-

毛利悠介

桃夢はるの…。そんな過去があったんですね。関西では有名な子役さんだったんでしょうか?

神楽坂美咲

昨日のアレも喜劇としての演技だったら、彩美は大女優ね

佐々木拓海

今からでもいいんで、サイン30枚下さい!


2011年9月18日

文化祭前のトラブル

星野彩美
(17歳当時)

その喧嘩は唐突に起きた。

星野彩美が通う高校で、文化祭の準備をクラス全員で行っている最中のことだった。

皆が目を向けると、

A君とB君 VS CちゃんとDちゃん

という構図が見て取れた。

彩美は特に慌てる様子もなく4人の元へ近付いて行った。

彩美は学級委員でもなければ正義感が強いわけでもない。

そしてボクシングの審判のように、対立の中間地点で立ち止まった。

Aくん

オレは今、東京タワーからお前ら二人を見下してる気分だわ

星野彩美

私は今、皆とスカイツリーにいる気分です

Dちゃん

だから、あんた達の言ってることは、荒唐無稽なのよ!

Bくん

荒唐無稽? お前、賢くないくせに言葉だけ難しくすんな!

星野彩美

by 数学Bの西餅先生ですね…

ギャラリー

ぷっ

Bくん

Cの頭ん中は、ハッピーセットかよ!

星野彩美

そうそう、まずは皆でハッピーセット食べに行こっ!

ギャラリー

うんうん

Cちゃん

Aって、男のくせに性格終わってんな。もう現世ではあきらめな

星野彩美

諦めたらそこで試合終了ですよっ!

ギャラリー

ザワザワ…

Dちゃん

Bって…キモッ

星野彩美

肝っていうのは内臓の大事な部分でね。つまりB君は大事って意味ね

Aくん

はぁ!? C、お前が言うな!

星野彩美

お前もな…

ギャラリー

うんうん

Dちゃん

あ? Aってマジその顔で言ってんの?

星野彩美

顔はやめてー、私これでも女優なのー

ギャラリー

ひゅーひゅー(拍手)

Aくん

臭っ、C、てめぇの香水クセーんだよ!

星野彩美

Aくーん、そんな汚い言葉使っちゃダメでしょー?
くそうございます、でしょ。

Cちゃん

え? 彩美、臭いことは臭いの?

Aくん

彩美、くそうございますって…

二人の会話参加で、ようやく全員が大爆笑した。

多分、途中からは全員を巻き込んだコントになっていた

-f i n-


神楽坂美咲

彩美はすでに高校の頃からブライターだったのね

佐々木拓海

あー僕も彩美さんのいるクラスに入りたかったなぁー


2022年10月23日

アドリブ得意

それは7人が集まるネッキャンミーティング中に、突然起きた。

「プッ」

誰かが笑った音ではない。

「声」とは異なる小さなかわいらしい破裂音。

一瞬、周りがピリッとしたが、殆どの人間は状況を掴めていなかった。

ましてや、出雲美紀がおならをしてしまったなどとは、想像の範疇外なのだ。

星野彩美

いち早く反応したのが、美紀の隣に座っていた星野彩美だった。

彩美は一瞬、美紀の俯く顔を見た直後、誰よりも早く口を開いた。

「ガハハ、どうじゃー私の毒ガス攻撃はー!」

星野彩美

「もう彩美、勘弁してよー」

神楽坂美咲が顔をしかめた。

裕木清明はすかさず鼻をつまみ、呼吸を控えている。

なぜか隼賢介は頭を下げた。

「彩美さん、さすがですねー。色んな意味で参りました」

喧噪が続く中、今日の進行役であった三笠哲也が注意を促した。

「はいはい!では話し合いに戻りますよ。以後、自分の意見が通らないからといって、毒ガス攻撃は禁止とします」

三笠哲也

1時間後。

ミーティングが終了すると、出雲美紀が星野彩美の元へ駆け寄った。

「彩美さん、すみませんでした。私、言い出せなくて…」

彩美はいつもの屈託のない笑顔で答えた。

「あぁ、あれ美紀ちゃんだったのー。こちらこそごめんね。おいしい笑い横取りしちゃってー」

星野彩美

そう。これが星野彩美なのだった。

-f i n-

出雲美紀

その節はありがとうございました。おかげさまで、今は私も自己申告できると思います

泉獅子王丸

彩美さんに侍魂を感じます!


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