はじめに
私の知り合いのカウンセラーに坂本タツ哉さんという方がいます。
坂本さんは20年前からギャンブル依存症のカウンセリングをやられていたので、もしかすると、読んでいる方の中にも、お世話になった方もいるかもしれません。
現在は、体調を崩され、一線を退かれていますが、坂本さんの元には1000人を越えるカウンセリング記録と統計のデータが残されています。
私は今回、そのデータと坂本さんの監修によって、この記事を書きあげることができました。
私と坂本さんの思いは一つです。
ギャンブルに限らず、全ての依存症は「不健全」な状態です。
1人でも多くの方が「正常」に戻ってほしいと…。
この記事が、少しでもあなたの助けになれば幸いです。
ギャンブル依存症カウンセリング
ギャンブル依存症が生まれる仕組み
なぜ誰も望まない「ギャンブル依存症」が生まれてしまうのでしょうか?
問題は大きく分けて3つあります。
では以下に、分かりやすく解説していきましょう。
脳内物質の問題
依存症って何? ただギャンブルを我慢すればいいだけの話でしょ?
世間の方も、そう疑問に思っていることでしょう。
しかし、依存症は単なる我慢や意志の問題ではなく、数値として表せる病気なのです。
脳内物質である「βエンドルフィン」と「ドーパミン」中毒。
これがギャンブル依存症の正体です。
脳がこれら中毒症状に陥っている時は、精神力など何の役にも立ちません。
これらは欠乏動機であるため、足りなくなると脳が強烈に欲します。
例えば、あなたは喉が渇いた時、何日我慢できますか?
依存症者の中では、似たようなことが起こっています。
ギャンブルから離れている時、「乾いた砂漠の中で水を我慢しているような感覚」に襲われることは、多くの依存症者が訴えます。
これは想像していた以上に大変な事態なのですね
ですからここは、本人にもご家族にも、きちんと「病気だ」と伝える必要があります。
実は、これまで「心が弱いせいだ…」と自己嫌悪に苛まれた依存症者は、少しホッとされます。
責め疲れ、悲しみ果て、理解に苦しんでいたご家族も、ここで一度、救われます。
「病気なのだから、きちんと治療する必要がある!」
お互い、そう前を向けるからです。
まずは受け入れるところからスタートするのですね!
環境の問題
アフリカの山奥にはギャンブル依存症者がいません。
なぜでしょうか?
はい。ギャンブルが存在しないからです。
ギャンブルがなければギャンブル依存は生まれません。
では、世の中からギャンブルを無くせば、問題は解決するのではないでしょうか?
はい。それも一つの答えです。
現にギャンブルを禁止している国もあります。
しかし日本において、その実現は難しいと言わざるを得ません。
日本におけるギャンブルは、悪ではなくただのシステムだからです。
法に反しない限り、無くすことは難しいでしょう。
そして実際「依存症にならずに健全にギャンブルを楽しめている多数の人達」も存在するからです。
そうかぁ。無くすのが一番簡単なんだけどなぁ
加えて、依存症が「心の問題」だった場合、ギャンブルを無くしても解決にならない危険性が出てきます。
ギャンブルが取り上げられたならば、今度はアルコールや薬物などに依存してしまうケースもあるからです。
そりゃー元も子もないニャン
ギャンブルがない環境を作れば、ギャンブル依存症が解決するのは間違いない事実ですが、私達は依存してしまう心こそを何とかしようとするものなのです。
個人の心の問題
同じ環境下で生活しているのに、ある人はギャンブルに依存し、ある人は依存しない。
この違いは何でしょうか?
うーん…うーん…
時間切れですw
まさに個人の「心の違い」となります。
心の中身は1人1人違います。
ある人は、心の「ここに問題がある」から依存症になりやすく、ある人は、心の「ここが優れている」から依存症になりにくいのです。
一般の方には、肝心の「ここ」が分かり難いんだニャン
安心してください。
それを解説していくのが、この記事です。
この記事では「ここ(心の問題)」を10のタイプに分類してあります。
おそらくこれで8割から9割の「依存症心理」をカバーできるはずです。
あとはその問題(課題)を克服すればいいだけです。
Wow、希望が見えてきたぞー
少し厳しい言い方をさせて下さい。
今、あなたが依存症に苦しんでしまうのは、心に未成熟(子供)な部分を残しているからです。
周りが成長過程で克服してきた課題を、あなたはまだ満たせていないのです。
あなたが尊敬する芸能人、スポーツ選手、学者、先輩…、彼らが依存症になることを想像できますか?
イメージできません
そう。心が成熟した「大人」は、依存症にはなれないのです。
それでも希望はあります。
あなたには、すでに実績があるからです。
幼稚園や小学生の頃を思い出してください。
当時、夢中になっていたお菓子、マンガ、遊び、フレーズ、好きな人…。
それは、今は変わっていますよね? さすがにもう卒業しましたよね?
ハイッ!
良かったー。
それが当時より心が成熟した証です。大人になったことなのです。
簡単に言えば、依存症カウンセリングとは、それをまたやるだけです。
「あぁ、そういえば昔、ギャンブルに夢中になっていた時期があったなぁ…」
そう思い返せる日は、きっと来ます。
少しずつでも構いませんから、確実に階段を登っていきましょう!
ギャンブル依存症の判定は?
ギャンブルによって日常生活に支障が出ているのであれば、依存症か否かに関わらず、対策を行ったほうがいいのは間違いありません。
自分1人で行うのが難しいならば、各都道府県の精神保健福祉センターや自助グループや各カウンセラーに相談して下さい。きっとサポートしてくれるでしょう。
ただし、依存症かどうかの判定は、あくまで医療機関で行います。
2020年4月から、健康保険での治療が可能なので、一度病院に行ってみてもいいかもしれませんね。
参考までに依存症の強度を測る「テスト」を載せておきますね
個人差はあるでしょうが、以下の設問に当てはまる数が多いほど、依存症の強度も上がりますよー
・現在、ギャンブル中心の生活を送っている。
・ギャンブルのために、家族に迷惑をかけている。
・ギャンブルがしばらくできないと精神的に苦痛な状態になる。
・ギャンブルがしばらくできないと肉体的にも苦痛な状態となる
・ふと衝動的にギャンブルを求めることがある。
・ギャンブルの後、よく自己嫌悪に陥る。
・今、ギャンブルによる借金をしている。
・何度もギャンブルをやめようと思っているが、いまだやめられない。
・ギャンブルの夢を見ることがある。
・ギャンブルをしていると自分の攻撃的な一面が出てくる。
・ギャンブルをしている時が一番幸せだ。
・自分はギャンブルにとり憑かれていると思う時がある。
ゼロならセーフだけど、少しでもあれば対策をしておいた方がいいワン
ですね。
次はいよいよ、タイプ別の対策に移りましょう!
ギャンブル依存症のタイプ分類
あなたはギャンブル依存における、どのタイプに当てはまるでしょうか?
それを知るための簡単な心理テストを用意しました。
知りたい人は、利用して下さいね
やりたくない方は、そのまま先に進んでも大丈夫ですよ
<依存タイプ診断>
※以下の文章に当てはまる度合いを%で表し、合計点を出してください。
Ex.私はお寿司が好きだ。→80%→80点
①ギャンブルを我慢するとイライラしてくる(不快になってくる)→ %
①ギャンブルがすぐにできる環境にいる → %
①ギャンブルをすることが習慣になっている。→ %
①気が付くとギャンブル関係の雑誌や動画を見ている。→ %
②ギャンブルに出かける時にワクワクする。→ %
②財布に大金があると、どんどんギャンブルに使ってしまう。→ %
②ギャンブルの前には、勝てそうな予感がする。→ %
②三度の飯よりギャンブルが好きだ。→ %
③今の辛い毎日から逃げ出したいと思う時がある。→ %
③不安や緊張には長時間耐えられない。→ %
③ギャンブルをしている間は、自分の世界に没頭できる。→ %
③あまり現実を直視したくない。→ %
④ギャンブルをするためにウソをついたことがある。→ %
④ギャンブルに負けた記憶よりも、勝った時の方を強烈に覚えている→ %
④あまり物事を深く考えないほうだ。→ %
④将来を考えるより、今を大切にしたい。→ %
⑤負けたら次の日、取り返しに行きたくなる。→ %
⑤努力すればギャンブルで勝つことは可能だと思う。→ %
⑤ギャンブルで勝つ作戦を考えている時が楽しい。→ %
⑤ギャンブルで勝つと優越感や万能感を感じる。→ %
⑥自分の人生、最終的には「何とかなる」気がする。→ %
⑥自分が本当に困った時には、助けてくれる人がいる。→ %
⑥ギャンブルで、身近な人に、何度も迷惑や心配をかけている。→ %
⑥自分は1人で生き抜けるほど強くはない。→ %
⑦コツコツと継続的に努力することは苦手だ。→ %
⑦自分を取り巻く今の社会を「好き」とは思えない。(満足していない)→ %
⑦戦闘や破壊シーンの多い動画が好きだ。→ %
⑦物事がうまくいかないと、すぐにリセットしたくなる。→ %
⑧ギャンブルはスリルがあるからおもしろい。→ %
⑧平凡で決まりきった毎日にはうんざりしてしまう。→ %
⑧冒険に憧れる。→ %
⑧好奇心が強く、何でも覗いてみたいほうだ。→ %
⑨自分に絶対的な自信を持てないでいる。→ %
⑨人付き合いに疲れる時がある。→ %
⑨自分から動くより、人に言われたことをこなす方が得意である。→ %
⑨自分よりも、他人から誉められたほうが嬉しい。→ %
⑩世の中、お金が全てだと思う。→ %
⑩自分の人生、自分のやりたいように生きたい。→ %
⑩人のために尽くす人生はできそうもない。→ %
⑩欲しいものは、どんな手を使っても手に入れる。→ %
お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?
さすがに全部が高得点という方はいないと思いますが、殆どの方は複数のタイプが当てはまったと思います。
その中でも点数の高かった「タイプ」こそがあなたの課題ですので、重点的に取り組んでいきましょう!
はーい!
各タイプの解説と対策
①習慣タイプ
あなたは、ギャンブル無しでは生きられないほど、習慣的にノメり込んでいるタイプです。
習慣タイプの人は、しばらくギャンブルができないと精神的、肉体的苦痛を感じます。
いわゆる禁断症状だニャン
これは脳内物質が関係しており、例えば「ジョギングが好きな人が、走れないとイライラしてくる」のも同じ理由となります。
誰しも、この習慣性を解除するためには、ある程度時間をかけなければなりません。
ポイントとなるのは、「ドーパミンで2週間、βエンドルフィンで2ヶ月間、ギャンブルをやらないこと」です。
それで少しずつ中毒性はやわらぎ始めます。
2週間? アルコール中毒や薬物中毒などと比べると、はるかに短い!
そうなんです。ギャンブル依存は、まだ禁断症状を克服しやすいとも言えます。
とりあえず2週間我慢すれば、改善する可能性が生まれてくるのですから!
でも…βエンドルフィンに関しては2か月かかるんだね…
はい。ですから単なる我慢では厳しいと思います。
「やめよう」と意思の力で戦って、ことごとく負けてきたのが依存症者なのですから、何か工夫をしたほうがいいでしょう。
<習慣タイプの対策例>
坂本さんのデータによれば、禁断症状の最初のピークは、ギャンブルを中止してからの3日間だそうです。
つまり、脳の興奮状態は4日目あたりから少しずつ落ち着くと…
そうなると、この3日間は「物理的にギャンブルができない環境を作った方が良い」となります。
何もアフリカの奥地に行かなくても、どこか自然を満喫できるところに旅行に行けば、この最大の山場はクリアーできます。
ちなみに、この環境を作った場合は、禁断症状が思ったより出ないメリットもあるそうですよ。
どう駄々をこねても、物理的にギャンブルができないことを脳が理解すれば、意外とスンナリ諦めるらしいです。
逆を言えば、ギャンブルが目の前にあって、それを我慢させるのは地獄ということですね
はい。喉が乾いている人間の目の前に水を置いて「我慢しろ」と言っているようなものですから。
βエンドルフィンはどうしますニャ? さすがに2か月間、旅行に行っているのは難しいニャン
そうなんですよ…。
さすがに難しくなりますが、最も成功例が多かったのは、ギャンブルに代わる別の快を、2か月間与え続けることでした。
ただし、依存症者にとってはギャンブルが最大の快なので、普通の快1つでは、とても足りません。
よーし、じゃあ貝をたくさん集めてくるワン
ちょっとー! 快ですよー!
スポーツ観戦、好きな音楽を聴く、お笑い動画を見る、ペットと遊ぶ、自然に触れる、マッサージを受ける、友人とコミュニケーションを取る、興味のあったアートや美術館を訪れる、温泉に行く、アロマや香りを楽しむ、ゲームを楽しむ、アニメを見る、小説やマンガを読む、おいしいものを食べに行く、プチ旅行に行く、今やっている期間限定イベントに行ってみる、ドライブやツーリングに行く、お菓子を食べる
ハッチ、ありがとうございます。結構集まりましたねw
では、これらを自分の好みに合わせて、どんどん組み合わせていくことになります。
こりゃー出費が大変だ
それでもギャンブルで失うよりは、遥かにマシですわ
私もそう思います。
まずはギャンブルの中毒性、習慣性を抜くことが第一ですからね。
加えて脳に「あれ?このコラボはギャンブルよりいいかも…」と思わせられれば、今後の抑止力にもなるのです!
ブラボー! 是非、試してみて下さいね!
<参考>
参考までに、最も失敗する率の高い例を紹介します。
それは「2度とギャンブルをやらない!」と誓うことです。
そもそも、これで成功する人は依存症になりませんから、依存症者にこれを誓わせても意味がないのです。
「そんなことはない。もっともっと強く誓えば大丈夫」。そう思ってしまう方もいるかもしれませんね…
はい…。では、そんなあなたにお願いをしてみましょう。
「ピンク色のゾウだけは、絶対に頭に思い浮かべないで下さい」
いかがでしょう?
無理…
そう、この約束を守れる人間はいません。
脳は、否定形を使っても、そのイメージを消すことはできないからです。
ピンクのゾウと言われた瞬間に、ピンクのゾウのイメージが出てきてしまうのです。
つまり…、ギャンブルを禁止すればするほど、ギャンブルを強く意識しなくてはならないジレンマを抱えます。
これもまた地獄じゃのぅー
そうなのです。
ギャンブルをやめる人、やらない人とは、ギャンブルのことなど頭にない人なのです。
どうかそれを覚えておいて下さい。
「絶対やらないと誓うことは逆効果」というのがよく分かったニャン
まとめますと、習慣タイプは、いかにギャンブルから離れるか、習慣性と中毒性を抜くかがポイントになりますね。
②退行タイプ(幼児タイプ)
あなたは、ギャンブルを「退行する(幼児に戻る)」手段として利用するタイプです。
ちょっと分かり難いワン
残念ながら世間では、ギャンブル依存症の人を頭が幼児レベルと誤解していますが、退行タイプはむしろ逆です。
現実社会で大人として真面目にがんばっているために、幼児性を発揮できるギャンブルの世界で帳尻を合わせようとしているのです。
一部のエリートが、お酒を飲むと幼児言葉になるのと同じ原理ですな…
誰しも幼少期に戻れば、咎められる事も周りを気にすることもなく自分のやりたいようにできるのですから、これは魅力的でしょう。
しかし、現実ではその願いが叶わないため、抑圧され続けた願望が、あるきっかけ(飲酒、風俗、ギャンブルなど)で表出するわけです。
そしてあなたの場合は、ギャンブルを利用して退行しているのです。
なるほど、そういうことだったのかー!
カウンセラーから見れば、現実の厳しい世界に合わせてきた大人の心がついに耐え切れなくなり、退行の世界へ逃げ込んでしまうことは了承可能です。
何ら責められることではありません。
退行とは「自己防衛機制」と呼ばれ、誰もが持っている心を守るための自然な働きだからです。
<退行タイプの対策例>
対策は3つ挙げられます。
対策①
退行せざるを得ない状況を変える
あなたは現実世界を、もう少し楽に生きてみましょう。
やるべきことが多すぎるのか、過度のストレスがかかっているのか、自分の能力以上を絞り出しているのか…、とにかく頑張り過ぎている今の現状を見直して下さい。
退行タイプの人には「今のままでは心が壊れるよー」のサインが出ているんだね
対策②
別の健全な場所で、退行できるようにする
世の中には、退行を利用している人がたくさんいます。
というより、退行なしに、人は生きられないのかもしれません。
あなたの問題は、退行する場所だけなのです。
何もギャンブル場で子供に戻らなくてもいいではありませんか。
家族や恋人の前で思い切り童心に帰ってみてもいいですし、カラオケを自由に好きなように歌ってもいいですし、ゲームやスポーツの世界で子供のようにはしゃいでもいいのです。
あなたはどこだって子供になれます。
ぜひ、その子供に戻れる新しい場所を見つけて下さいね
役割も肩書も責任も、全部脱ぎ捨てられる場所…。いいなぁー(遠い目)
対策③
普段から子供っぽい部分を出して、ガス抜きをしておく
あなたは日常の何気ない世界でも、幼児性をうまく発揮できるようになって下さい。
「大人なんだからしっかりしなくてはいけない」
そんな戒めは、一旦、解いて下さい。
あなたは大人である前に、人間なのですよー
そう。私達は機械ではありませんから、感情を出していいのです。
あなたはもっともっと、生活の中で感情を出していきましょう。
子供のように、喜んで怒って悲しんで笑って泣いて…
はい。大人だから感情表出が禁止されているわけではありません。
TPOをわきまえれば、大人でもどんどん感情を出していいのです。
人と親しくなる上でも、感情の交流は欠かせないんだニャン
ちなみに、童心に帰れる安全基地や本音で語れる人間関係は、私が所属するネットキャンバスでも目指しているところですので、参考までにどうぞ
まとめますと、退行タイプは、
「子供心の発揮場所をギャンブルに求めるな」
「安全基地と本音で語れる場所を作るべし」
となりますね。
③回避タイプ
あなたは、目の前の「不安」「恐怖」「緊張」から逃げ出す場所としてギャンブルを選んでいるタイプです。
「回避タイプ」は「退行タイプ」と似ていますね
はい。混同しやすいのですが、回避タイプは、不安、恐怖、緊張を回避するために、とりあえず逃げ込むのが特徴です。分かりやすく言えば、「現実逃避」ですね。
なるへそ。逃げるのが目的だから、「退行タイプ」のように子供らしい快を求めているわけではないんだワン
実際、回避タイプの方は、「ギャンブルをしてもおもしろくない」と答えます。
しかし、「ギャンブルをやらないと、日常がもっとつまらないから…」と続けて答えるのです。
一般の方からは理解しがたい理屈かもしれませんが、それくらい回避タイプは追い込まれているわけですね。
もちろん回避行動を責めることはできません
退行タイプと同じく、防衛機制と呼ばれる心を守るための自然な働きだからです。
では、よりによってあなたがギャンブルへ避難してしまうのはなぜでしょうか?
たまたま?
またまたーw
ギャンブルこそが最も「非現実的な世界」であるからに他なりません。
現実が不快で仕方ないならば、そこから最も遠く離れた世界へ逃げ込むほうが効果的でしょう。
例えば、あなたは「明日は苦手な会議がある」ことを意識しながら、又は、「上司に怒られた嫌な体験」を思い出しながらギャンブルをできるでしょうか?
できませんし、思い出したくありません
そう! むしろそれらを忘れたいがためにギャンブルにハマるわけです。
実際、多くのギャンブル場は、非現実的な空間を上手に演出しています。
ギャンブル場に時計やカレンダーがないのは有名な話ですが、他にも照明を暗くしたり、BGMを流すなどして、いかに日常とかけ離れた空間を作り出すかに主催者側は力を入れているのです。
だからギャンブル場に行くとワクワクしてしまうのか…
向こうも商売なので、その演出は非難できません。
クソぅ! 全ては回避タイプの人間を誘い込む罠だったのですね?
私は、それを知る由はなかったのですが、実は最近、主催者側の考えを聞くことができましたので、それは「ギャンブルを健全に楽しむ」に記しておきます。
いずれにせよ、回避タイプのあなたは、ストレスを感じているが故に、ギャンブルへ逃げ込んでいることに気付いてください。
<回避タイプの対策例>
まずは再確認です。
あなたにとって本当に大切なのは現実の世界なのでしょうか?
それともギャンブルのような非現実的な世界なのでしょうか?
現実ですっ!
はい。
「現実の世界こそ大切であり、現実の世界こそが真実である」とはっきり気付くほどに、依存症から抜け出す道(光)が見えてくることでしょう。
対策①
回避する必要のない環境を作る。
ストレスゼロの環境は、さすがに無理です。
仮に実現させても、新たにストレス・レス・ストレスを生むジレンマも明らかになっています。
ですから、ギャンブルに逃げ込まなくても大丈夫なくらいの、適度な環境を作れれば理想的です。
対策②
ストレスコーピングを身に付ける
ストレスコーピング。
即ち、ストレスがかかった時、適切に対処して心身にダメージを残さない技術です。
これも理想ですが、この技術を身に着けるには、多少時間がかかります。
やり方は「ストレスをぶち壊す」で紹介できますが、読めば明日からOKとはならないので、緊急には向いていません。
対策③
より建設的な回避場所を作る
これが一番早くて現実的なやり方だと思います。
まずは回避場所の教科書的な答えを出すワン
・自然に触れる。
・図書館で好きな本を読む
・カフェでゆったりと過ごす
・ジムで体を動かす
・美術館や博物館でリフレッシュする
にゃるほど! ではこれでいこう!
はい…。
これでいける方はいって下さい…。
ん? 先生、何で顔色が冴えないの?
どうやら理想と現実は、違うようなのです。
坂本さんのデータにあった、「実際に成功した回避場所」を出しておきますね。
携帯ゲーム 44%
風俗関係 18%
大食い(食べ放題などに行く)16%
好きなアルコールを飲む 9%
プチ旅行(ドライブ、ツーリング)6%
お風呂、サウナ4%
その他 3%
正直、あまり自慢できる回避場所ではないかも…
はい。ただこれが実際に成功している現実です。
そしてここは、個人差が大きくなる箇所ですから、あなたに合った回避場所を見つけて下さい。
もちろん、これも1つに絞ることはありませんよ。
できるだけ複数、あなたの中に用意して、ギャンブルだけに逃げ込んでしまう今の問題を解決していきましょう!
まとめますと、回避タイプは、「日常のストレス対策」に力を入れるということです。
④盲目タイプ
あなたは「事実が見えないために問題を抱えてしまうタイプ」、又は「歪んだ事実を信じているせいで不幸が訪れてしまうタイプ」です。
ちなみにあなたは、先にあったテストで、盲目タイプの点数は何点でしたか?
えーっと…
坂本さんのデータによれば、0点だった人は存在しませんでした。
なにーっ!? 1000人以上のデータがあってもかーっ!?
はい。
つまり、全てのギャンブル依存症者は「盲目タイプ」を有していると断言できます。
ギャンブルに対する熱が理性的な判断を奪い、現実を正しく認識できなくなるために、依存症になってしまうのです。
あなたはどうか目を覚まして下さい。
自分が事実にしっかりと気付けば、一気に改善の方向へと向かうことが多いのも、このタイプの特徴だからです。
<盲目タイプの対策例>
対策①
判断力を取り戻しましょう
残念ながらあなたは、ギャンブルに対する合理的な判断ができなくなっています。
勝つ確率が低いと理解はしても、「もしかしたら勝てるかも…」と期待しているのですね?
もちろん勝つ可能性は、ゼロではありません。
しかし判断力が正常に戻れば「勝てるかも…」ではなく「負けるほうが普通だろうな…」となるはずなのです。
また、今日は大負けしても、「明日になれば勝てるのではないか」と期待してしまうのも、盲目タイプの特徴です。
ギャンブル依存症者がギャンブルに夢中になる様子は、恋愛で周りが全く見えなくなる「異様に高揚した状態」と似ています。
…となると恋愛同様、夢中になっている間は、周りの忠告に耳を傾けないのかニャン?
根拠のない思い込みに囚われ続けている限り、幸福はやってきませんよー
はい。どうか願望込みではなく、冷静な判断ができるようになって下さい。
対策②
理性を取り戻しましょう
ギャンブルに依存してしまうと、人間らしい理性はどんどん失われます。
例えば、生活費が無くなり借金が増えても、ギャンブルを止められません。
自分の行動を正当化するために、様々な言い訳をします。
ギャンブルを続けるために、家族や友人に嘘をついたり、盗んだりします。
これは辛い…
詳しい内容は書けませんが、坂本さんのカルテの中には、目を疑いたくなるような「とんでもない言動」が、数多く記録されていました。
まさに理性がマヒしてしまい、何も見えていない状況にあるわけですね
はい。
この状態は、もはや人間ではなく獣に近いと思われます。
そして、ここまでの言葉も、獣モードに入っている間は、一切聞く耳を持たれません。
えー、じゃあこれを書いてもムダなのでは?
チャンスはあります。
いつまでも獣モードが続くわけではないからです。
ふと人間らしい心の状態に戻った時に、もう一度この記事を読んで頂いたり、大切な人の話に耳を傾けたり、心が洗われるような体験をしてください。
その繰り返しが、あなたの倫理・道徳心を育て、引いてはギャンブルに負けない強い理性を持てるようになるでしょう。
対策③
目を開けましょう
あなたは現実から目を背け、ずっと目を瞑っています。
あなたが目を開けたくない気持ちは分かります。
おそらく開けてしまえば、辛くて不快な現実が待っているのでしょう。
正直、私は今のあなたに「現実とだけ向き合え」とは言えません。
心がもう拒絶しているのですよね。
かわいそうに…
ですから、少しだけ現実を見て、少しだけ前向きな言動をとってみて下さい。
そして、その報酬として、少しだけギャンブルをやってみて下さい。
また、ちょっとだけ未来も見て下さい。
未来の自分のためになること、未来に希望が持てることを少しだけやって下さい。
その上で、ご褒美的にギャンブルに行くのは、(今の時点では)アリだと思います。
誰が蟻じゃーい!
これも盲目による不幸ですわね…
あなたは今、「不快な現実」と「絶望の未来」を見ないために、ギャンブルを利用しています。
逆、逆、せめて逆にしましょーっ!
そうなんです。
辛い現実と暗い未来に光を射すために、ギャンブルを利用してみて下さい。
がんばった報酬としてギャンブルをし、ギャンブルをするために現実をがんばってみるのは、まだ健全だと思うのです。
え? つまりこれは…。ギャンブルをやらないことだけがゴールではないという話ですね?
はい。
ギャンブルを健全に楽しんでいる人達の側に行けることも成功なんだワン!
対策④
現実認識能力を高めましょう。
現実認識能力が高い人ほどギャンブル依存に陥りません。
それは、アホらしいからですな
その通りです。
客観的、合理的に考えれば、ギャンブルはアホらしい遊びです。
…となると、盲目タイプのあなたの課題は、現実認識能力を上げることになりますね。
どうすれば上がるのかしら?
ニュースを見たり、日記を書いたり、ネットのコメント欄を眺めて色々な考えに触れることですね。その繰り返しで、客観的に現実を見つめる能力が磨かれます。
裏技的には、自分が「現実認識能力の高い人間に成りきる」のも手ですな
はい。
例えば、自己暗示。
以下の言葉を日々、自分にかけてみて下さい。
続けるうちに、現実の自分の方が変わっていく可能性がありますよ。
私は冷静で、感情に振り回されることは少ない。
私は読書など、自分の知識を増やすことが好きだ。
私は能率的なこと、合理的なことが好きだ。
私は夢の話より、現実的な話に興味がある。
私はよく言えば客観的な、悪く言えば冷めた人間だ。
あれ? これって…裕木さんのことですよね?
はは…、確かに似ていますねw
まとめますと、盲目タイプは、「目を開いて現実を正確に捉えましょう!」となりますね。
⑤勝負師タイプ
あなたは、ギャンブルに「楽しさ」よりも「勝ち負け」を求めるタイプです。
具体的に言えば、「自分の必勝法が通用したか?否か?」が最大の関心ごとになります。
運の力で勝っても喜ばないのが、勝負師タイプの特徴なんだワン
ギャンブル必勝法を、考えては試す日々。
それは一見、勤勉でストイックで、あまり問題なさそうに思えます。
しかし、このタイプが怖いのは、終わりがないところです。
日々負け続けているのに、「ここを修正すれば次は勝てる」とめげずに新しい必勝法を作り出してしまうのです。
このタイプの人には、「諦めたらそこで勝負終了ですよ」なんて、軽々しく言えないニャン
世の中、諦めない美学もあれば、諦める美学もありますものね
少なくともあなたは、諦められないために、不幸から抜け出せないのですよね?
うんうん
ちなみに勝負師タイプは、ギャンブルに対する罪悪感を、ほぼ持っていません。
真面目に研究を続けるモチベーションの高さに加え、必勝法が完成したら「自分も周りも幸せにできる」と信じているためです。
私は勝負師タイプの人には、昔の錬金術師のイメージが重なります。
錬金術とは、ルネサンス期に流行した、普通の金属を金に変える技術のことです。
当時は多くの人が錬金術を信じ、挑戦してきました。
もちろんこれは物理法則に反しているので、成功することはありませんでしたよ
錬金術に夢中になったのは、多くの優秀な人材でした。
彼らは、生涯を通じて夢を追い続け、多くの時間と資産を消費しました。
しかしその努力は実を結ばず、失意のうちに生涯を終えました。
そして、本人の人生を台無しにするだけでなく、周りも悲劇に巻き込んでいったのです。
クンクン…。確かに、勝負師タイプは錬金術師と同じ匂いがするワン
純粋に向き合うが故に、諦めきることができない。
皮肉で罪深い罠です。
<勝負師タイプの対策例>
対策①
ギャンブルのシステムに気付く
どのギャンブルも、あたかも「勝負」ができる場所のようにカムフラージュしてあります。
しかし、ギャンブルは勝負には成り得ません。
システム的に胴元が(最終的には)必ず勝つようにできているので、ただのレジャーなのです。
実際、国もギャンブルをレジャーとして「レジャー白書」の中に分類していますわね
でも、たまに勝つこともあるじゃないかーっ?
それもシステムですね。
「負け負け負け…」では、誰もギャンブルをやらなくなるので、システム上、時々は勝てるようにしてあるのです。
どうかあなたは、昔の錬金術師のような不幸に陥らないで下さい。
今、誰も錬金術に夢中にならないのは、それが物理的に不可能だと周知されているからです。
でもギャンブルは、時々、本当に金になっちゃうんだね
そうなのです。ですから気付きにくいのです。
もちろんギャンブルをレジャーとして楽しむ分には問題ありません。
ただ、それを勝負だとは勘違いしないで下さいね。
この「絶対に勝てないギャンブルシステム」については、健全にギャンブルを楽しむに詳しく書いていますので、興味がある方は覗いてみてくださいね
対策②
努力する価値のある「勝負事」に鞍替えをする
あなたは何もギャンブルに労力を注ぐ必要はありません。あなたのその努力を、実際に実を結ぶ価値のある「勝負事」に変更してみませんか?
…となると、投資かにゃー?
それもありです。
世の中には、株式、債券、不動産、投資信託など、様々な投資商品があります。
投資もリスクはありますが、研究することで、利益を得られる可能性を高めることができます。
他にも趣味やスポーツの中での勝負もありますし、自分の力を上げることも、ある意味、勝負です。
いずれもギャンブルより、遥かに努力をする甲斐があるでしょう。
対策③
趣味として割り切り、大金をかけずに検証を続ける
大金をかけず、周りにも迷惑をかけない範囲でギャンブルを続けるならば、依存症ではなく「趣味」として成立します。
純粋に研究することが好きならば、この道を進むのもありかもしれません。
ただ客観的に見れば、物凄く勿体ないですよ。
ほぼ不毛な努力に終わりますから。
その労力を、現実の仕事やキチンと成果の出る勝負に向ければ…と思うねー
お前が言うな…
まとめますと、勝負師タイプは、ギャンブルを錬金術と勘違いしないことです。
ギャンブルは、どこまでいってもただのレジャーであると早く気付いて下さい。
⑥共依存タイプ
あなたには、あなたを依存症者から抜け出せないようにする「協力者」がいるタイプです。
ここは理解するのも難しければ、対策をとるのも難しい「超難所」となります。
ふぅ…。
お互いしんどいですが、まずは簡単に共依存の説明から始めましょうか…。
先生、頑張ってー!
(1)共依存者とは?
共依存者は、「依存者に認められるために、自己犠牲的な献身を行う人」となります。
例えば、息子さんのギャンブルの借金を、親が肩代わりしました。
残念ながら、息子さんはまたギャンブルで借金をし、再び親が肩代わりしました。
もう絶対やらないと誓った息子さんですが、またギャンブルで借金を作りました。
親はさすがに迷いましたが、最終的にはお金を出しました。
ゴクリ…
この時、息子さんは依存性者で、親御さんが共依存者です。
えーっ!? 助けてあげたのに共犯者扱いなの!?
ちなみに、何回目の肩代わりから共依存になってしまうのですか?
1回目です。
1度でも金銭の援助をしたら、共依存になります。
それは厳しいです。最初の1回くらいは多くの身内が援助しそうですが…
そこなんです。1度目からアウトなのを、多くの方が知らないために、ギャンブル依存の不幸が続いてしまうのです。
何で1度目からアウトなのですか?
依存度が進行する病気だからです。
本来、依存を克服するためには、「独立、自立、自律」を身に付けなくてはいけません。
対して、借金の肩代わりをしてもらうことは、真逆の行為、「依存」です。
即ち、「親に甘えた」=「親に依存した」体験と学習が心身に強く残るのです。
ギャンブルに依存し、親にも依存する。これを2度、3度と繰り返せば、依存の度合いは確実に進行し、より改善が困難になるのです。
よく分かりました。ここは心を鬼にして、金銭的な援助はしないことですね
そうなのですが、共依存の問題が困難なのは、実はここからが本番です…。
私は最初に共依存の定義を「依存者に認められるために、自己犠牲的な献身を行う人」としましたよね。
借金の肩代わりとは、この一形態でしかないのです。
本当の問題は、もっと奥深いところにあるのです…。
先生がんばれー!
(2)共依存を撤廃するのが難しい理由
依存症者を助けてあげるために力を貸す。
何とかしてあげたい一心で援助する。
それが共依存者の表の顔です。
しかし、精神分析などで心のもっと奥を探ると、別の面も見えてきます。
ゴクリ…
共依存者の多くは、自身を過小評価してしまうために、他者、特に依存者からのプラス評価を必要としていると言われています。
一見、依存症者を援助するように見えて、実は相手の好意や行動を支配できる形に依存しているのです。(だから共依存と呼ばれます)
例えば、相手を献身的に支えるほどに、自分の価値は上がります。(相手から「君がいないと僕はもうダメだ」と頼られたり、周りの人間から「あなたは本当に優しいですね」と感心されることで)
「依存症者が悪」で「自分は正義」という絶対的な関係を、無意識下では望んでいるのですな
このことは、共依存者本人でさえ気付けません。
そしてカウンセラーが伝えると、烈火のごとく怒り出すのです。
当然ですわ。相手のためにやっているのに「自分のためだろ!」と言われたらねぇ
そうなんです。
おそらくこれを読んでいる殆どの方も納得できていないことでしょう。
もうこれは本当に難しくて、カウンセラーもあまり言いたくないのです…。
おそらく坂本さんも相当、苦労されたのでしょう。
最初の頃は、共依存者の心理カウンセリングも行ったそうですが、最終的には「金銭的な援助はしないように…」という点にだけ力を入れたそうです。
なるほどね。下手に無意識の話をするよりも、現実的な対策にシフトしたわけですか
はい。
優先順位の違いですね。
(3)とにかく金銭的な援助はしない
ギャンブル依存にブレーキをかける方法の1つに、「ギャンブルができない環境を作る」というのがありましたよね。
しかし、共依存者がいると「ギャンブルができる環境」が生まれてしまいます。
お金が無ければギャンブルはできないのに、共依存者がお金を渡すから、依存症者はまたギャンブルを続けてしまうのです。
サッカーで言うと、一発退場、レッドカードを突きつけてくれれば終わるのに、何度も何度もイエローカードで止まってしまう感じですか?
これはファールを繰り返しますよね。どうせレッドにはならないだろうとナメているのですから
最初はしおらしく反省や感謝の弁を述べていた依存症者も、症状が進行するに連れ、逆ギレや高圧的な態度で、お金を要求するようになります。
坂本さんが担当した中で、共依存者が依存症者に差し出した総額の最高額は2億円だそうです。
先祖代々の土地を売り払い、我が子のためを思って、出し続けた額です。
坂本さんは、疲れ果てた共依存者からこの話を聞いた時、戦慄を覚えたそうです。
依存症者は共依存者がいる限り、最後まで食らいつくすのだと…。
そして裏切られても裏切られても見捨てられない共依存者の絶望を思い、一緒に涙したそうです。
ちなみにこのカウンセリングは1回で中止されたといいます。
親御さんが連れてきた依存症者の精神状態が普通ではなく、話をすることもままならなかったらしいです。(結局、この方は医療機関に入られました)
壮絶な話ですね
では、共依存者がお金を出さなくなれば、依存症者はどうなるのでしょうか?
大変な状態になるのは間違いありません。相当な苦労をします。
生活レベルは下がりますし、金融機関からの取り立てや自己破産につながるケースもあります。
ですから多くの共依存者は、「そんなことになるくらいなら自分がお金を出す」となりがちなのですが、そこはせめて、病院など専門機関にかかる費用を援助する程度で抑えて下さい。
全ての援助がダメなわけではありません。
ギャンブルができてしまう環境を作らないために、金銭援助は禁止なのです。
それ以外の精神的な援助は大歓迎なんだワン
習慣タイプでも述べましたが、依存症者は今、脳がギャンブルを強烈に欲している状態です。
その状態でお金を援助するとは、喉が乾いている人間へ、「飲んではいけない水」を手渡すようなものなのです。
一見、相手を救おうとした善意が、相手をさらに苦しめることになるのですね
<共依存タイプの対策例>
<共依存者のあなたへ>
精神的な援助。依存症者が改善に向かう援助ならば大歓迎です。
ただし尻ぬぐい、金銭的な援助だけはしないで下さい。
<依存症者のあなたへ>
あなたは依存を克服するために、共依存者から独立、自立して下さい。
尻拭いは全て断り、どんなに辛くても自分で責任をとって下さい。
まとめますと、共依存タイプは、依存症者と共依存者のそれぞれが自立することです。
まずはお互い、自分の人生と向き合ってみて下さいね。
⑦タナトスタイプ
あなたはギャンブルを通して、日常(又は人生)をリセット(又は破壊)したがっているタイプです。
タナトスとは、無意識下にある「破壊、破滅、リセットへの憧れ」となります
「タナトス? 何それ? そんなのあるわけないじゃん」
そう思った方のために、分かりやすい例を出しましょう。
・ゲームで上手くいかないと、すぐにリセットして初めからやる行為
・コツコツやっていた勉強や仕事が行き詰った時、「もうやめた!」と放り投げる行為
・せっせと作っていたパズルや積み木を、衝動的に壊してしまう行為(小さい子供はよくこれをやって喜びます)
・恋人と喧嘩すると、「もういいから別れよう!」とすぐに切り出してしまう行為
少しイメージできましたか?
そして結構、タナトスに当てはまる人がいると思われます。
これをギャンブルで言えば、「大勝ちできないくらいなら、大負けしても構わないタイプ」、いえ、むしろ「大負けしたがっているタイプ」とも言えます。
もちろん、これにも反論は多いでしょう。
「自分から負けを望むはずがない」と考える方が常識的であるからです
しかし人間の心とは、奥深く複雑なものです。
深い心の層に焦点を当てていくと、なぜか「負けたがる自分」と「破壊したくなる人生」が、おぼろげながら見えてきます。
例えば、ギャンブル依存症者が、世の中で「最も分の悪い戦い」に挑んでいるのはなぜでしょうか?
本当に勝ちたいのであれば、ギャンブル以外の世界に労力を使ったほうがよいのは、経験上、よく分かっているはずです。
そして、今まで散々負けているのに、まだ負ける確率の高い勝負を求めてしまうのは、一体、心のどの部分なのでしょうか?
坂本さんのカウンセリングと違い、この記事では、個人の答えを出せませんので、ここからは一般的な話となります。
タナトスタイプのあなたには、「自己嫌悪」もしくは「社会嫌悪」が根底にある確率が高くなります。
あなたは自分が好きですか?
あなたは自分を取り巻く今の社会は好きですか?
「好き」は守りたいし、「嫌い」は壊したいですよね。
ただ、心が複雑なのは、幸せ過ぎたり、退屈過ぎても破壊したくなるからです。
例えば、挑戦している最中に楽しみを見出だすあなたならば、全て満たされている退屈な幸せは、むしろ壊したくなりませんか?
自己肯定感の低いあなたならば、次々と幸運が舞い込み、ギャンブルでも勝ち続けると、逆に壊したくなりませんか?
こんな自分には、大負けしている方が似合っているのだ…と
はい。そんなヤサぐれた心理ですね。
即ち、タナトスタイプのあなたは、自分がどう意識しようが、どんなラッキーが訪れようが、最終的には無意識下で破滅を望んでいる限り、依存症から抜け出せないのです。
皮肉なことですが、タナトスタイプの存在によって、現在の依存症対策が始まりました。
タナトスの衝動性、破壊性には恐ろしいものがあります。
普段は温厚で大人しい人でも、タナトスの「破壊リセット欲求」に火がつくと、とんでもないことをしでかすのです。
自分に向ければ、自殺。
物に向ければ、パチンコ・スロット台、ギャンブル場の破壊、放火。
人に向ければ、店員さんや他のお客さんへの暴力。
依存症対策が無かった30年前は、ギャンブル絡みの犯罪や自殺が今の何十倍も多かったのですよ。
そう。
あの頃に比べると今はマシになりましたが…、まだまだ対策は必要ですね。
<タナトスタイプの対策例>
対策①
守りたいものを持つ
人間の心は、何も考えていないようで様々な計算を(無意識に)しています。
タナトスタイプの人も、実は「壊すか壊さないかの判断」を、無意識に天秤にかけているのです。
当然、守りたいものが増えれば、タナトスは発動されませんよね。
あなたが今、守りたいものは何ですか?
この先、守るべきものはありますか?
これがしっかり答えられるほどに、タナトスタイプからの脱却は進むでしょう。
対策②
別なものを壊す
ギャンブル絡みで色々なものを破壊するのではなく、もっと別なモノを壊しましょう。
では、ちょっとカッコイイことを言いますよ。
フッ…自分の限界を壊す
先に言われましたね…。
でも本当にそういうことなのです。
特にカッとなった時のタナトスエネルギーは強烈なので、それを建設的に利用できれば、本当に自分の(想像していた)限界を壊せるのです。
メンバーの毛利さんは、このタナトスエネルギーを利用して、たまっていた仕事を一気に片付けるそうですよ。
坂本さんは、タナトスタイプの人には、日常から握力ボールを持ち歩いてもらったそうです。
カッとなったら、そのボールを握りしめる。もしくは自分の掌を強く握りしめる。
これで皆さん、軒並み握力が強化されたそうですw
35Kgだった人が、最終的には70Kgまで上がったらしいニャン
どれだけ怒りがあったんだよ…という話ですよねw
いずれにせよ、壊す対象を変えれば、タナトスも使えるエネルギーとなるのです。
対策③
すぐリセットしたくなる自分の幼児性を抑える
小さな子供は、積み木をすぐに壊します。
しかも楽しそうに壊します。
小さな子供にとっては、積み上げるより壊す快感の方が強いのです。
これもタナトス欲求ですな
もちろん、次第に大人になるに連れ、高く積み上げていくことに快を求めるようになります。
ただしどんな大人でも、途中でタナトスの誘惑に襲われます
はい。積み木を上手く置けなければ、リセットしたくなりますし、崩れてしまうプレッシャーから、早く逃れたい気持ちも出てくることでしょう。
それを我慢して、積み上げていくのが大人というわけですね
そうなんです。
大人の心を鍛えることで、タナトスの誘惑も拒絶できるのです。
対策④
将来に希望を置く
タナトス欲求に手を出す人と抑える人の違いは、「将来の希望」の差となります。
案外、人は今が楽しいか苦しいかは関係ないのです。
将来に明るい希望があるならば、今の苦しみも耐えられますし、絶望しているならば、今がどんなに楽しくしても虚しいだけなのです。
あなたは未来に絶望しないで下さい。
将来の目標でも希望でも願いでも、何でもいいので心に1つは用意しておきましょう。
それがタナトスタイプのブレーキになります。
対策⑤
普段から心身の健康を保つ
心身が健康であれば、タナトスに振り回されることが少なくなります。
闇があるところにタナトスは忍び寄る
体に関しては、定期的な運動をし、十分な睡眠を取り、朝日を見れるような習慣を身に付けましょう。
心に関しては、コミュニティ活動やボランティア活動など、 社会的なつながりを深めることです。
また、 日々の生活の中で、感謝の気持ちを持つようにしましょう。
まとめますと、タナトスタイプは、いかに「タナトスの衝動を発動させないか」がポイントになります。
⑧冒険タイプ
あなたは、ギャンブルを「釣り」や「テーマパーク」のように、ワクワクする冒険と考えているタイプです。
世間一般では、ギャンブル依存症の方を「心の弱い人間がなるもの」とイメージしている節がありますが、冒険タイプはそうとも言い切れません。
ギャンブルリスクを恐れずに向かっていく姿勢は、決して弱者的ではないからです。
見方を変えれば、リスクを恐れて大切なお金をギャンブルに突っ込めない方ほど弱者かもねー
もちろん、そんな勇気は蛮勇であり、何ら自慢できることではありませんw
根拠のないことを攻め続ける姿勢は、やはり蛮勇と呼ばれても仕方ないですわね
ただし、冒険型の旺盛な好奇心、体の底から湧きあがってくる冒険心を抑え込むことは、カウンセラーとしてできません。
それはヴァイタリティや生命エネルギーを奪うことと同義だからです。
タナトス型との大きな違いは、「破壊」を求めていない点ですな
そうなんです。
冒険タイプは、「破壊、破滅、リセット」を望んでいません。
それどころか、まるで小さい頃に読んだ物語のように、ハッピーエンドを信じて進んでいくのです。
だからこそ、何とかしてあげたいワン!
<冒険タイプの対策例>
今、あなたはどこにお住まいでしょうか?
地球!
実は、このタイプは、地球の都会に住んでいる方が、有利なのです。
坂本さんのデータでも、冒険タイプは都市部の方が少なくなっていますな
理由は明白です。
都会は様々な刺激に溢れているからです。
イベントでもライブでも話題のお店でも…、ギャンブルに代わる冒険が溢れているからです。
逆に、田舎は刺激が少ないために、ギャンブル場に行ってしまうのかなぁ…
それはあると思います。
あなたが限界を感じたならば、環境を変えてみるのも手ですが、まずは以下の対策を試してみて下さいね。
対策①
新しい場所を探索する
新しい場所は刺激に溢れ、あなたの冒険心をくすぐってくれます。
毎日の生活の中に、「新しい場所の探索」を取り入れてみましょう。
知らない道を歩いてみよう
行ったことのない場所をドライブしてみよう
新しいカフェやレストランを訪ねてみよう
プチ旅行に行ってみよう
対策②
新しい体験をする
新しい体験は、あなたの好奇心を刺激してくれます。
勇気もエネルギーもいるでしょうが、何か1つでもいいのでチャレンジしてみませんか?
新しいフィットネスクラスに参加してみよう
料理教室やアートクラスなど、新しい趣味を始めてみては?
新しい学習(自己啓発)に挑戦してみよう
読んだことのないジャンルの本を読んでみましょう
見たことのないアニメや映画を見てみよう
何かイベントに参加してみようよ!
対策③
刺激がない幸せを享受する
ここまではギャンブルに代わる刺激を挙げてきましたが…、刺激が無くても大丈夫な自分になってしまえば全ては解決します。
おーーっ! パチパチパチ!
ただし、刺激のない幸せを噛みしめるには、ある程度の「成熟」が必要となります。
ここでは分かりやすく、「未成熟な子供」と「成熟した大人」の対比例を挙げてみましょう。
場面 | 未成熟な子供 | 成熟した大人 |
休日 | 家でジッとしているのは勿体ない | 家でいつもと同じように過ごせる |
飲み物 | 刺激の強い炭酸飲料を一気に飲む | お茶やコーヒーをまったりと飲む |
幸せな時間 | クラブに踊りに行く | 公園のベンチで日向ぼっこをする |
不快な時 | ヤケ酒を飲む | 今後の対策を考える |
大金が入った時 | お菓子を大人買いする | 貯金や投資などに使う |
これは一目瞭然だワン。この流れだと…
場面 | 未成熟な子供 | 成熟した大人 |
ギャンブル | 行く | 行かない |
こうなるのも納得だワン!
ただ、成熟ってなんかジジィくさいですねw
まぁ体も成熟している方も多いですからねぇ
いずれにせよ、どうかあなたも「ゆったりまったりとした大人の幸せ」を味わえるようになってみて下さいね。
まとめますと、冒険タイプは、刺激を求めたがるエネルギーを上手くコントロールすることが大切になります。
⑨ACタイプ
ACタイプのACには2つの意味があります。
アダルトチルドレン(adult children)
アダプテッドチャイルド(Adapted Child)
アダルトチルドレンは、心に傷を持ったまま大人になった人ですな
アダプテッドチャイルドは、従順な子供心を表します。周りに気を使い、人の意見に従順に従う傾向を持つ人ですね
はい。
アダルトチルドレンのあなたは、自己肯定感が低いために、ギャンブルから自分を肯定してもらおうとするタイプです。
アダプテッドチャイルドのあなたは、「いい人」であるが故に、「いい人にならずに済む」ギャンブルにノメり込むタイプです。
ACタイプって、ちょっとこれまでのタイプとイメージが違うなぁ
はい。ACタイプは、一見、ギャンブルなど縁が無さそうに映ります。
社会的には地味で大人しい、言わば「いい人」ほど陥りやすくなるのが特徴ですね。
<自己肯定感を補充したい…>
ギャンブルを続けていれば、誰にでも(たまには)勝つ時が訪れます。
普通はそこで「ラッキー」で終わるのですが、ACタイプはそんな単純な話では終わりません。
周りから羨望の目で見られたり、祝福を受けている気分になったりすることで、最も自分に足りなかった「自己肯定感」を補充してしまうのです。
あーっ見たことあるー。スロットで大当たりを揃えた状態でトイレやジュースを買いに席を立つのは、周りからの羨望の目を欲しているんだね!
その可能性はありますね。
ギャンブルは実力より運の要素が強いのですが、とんでもない確率の「勝ち」をゲットした際は、あたかも神からの祝福を浴びているような陶酔感に包まれるのです。
普通の人でも快感ですが、ACタイプがこれを浴びてしまうと…。
これらを味わうために、どんどんお金をつぎ込んでいくのですね
はい。ACタイプは、自己肯定感を得るためにギャンブルをやっていますから、とりあえずそれを得るまではやり続けます。
ふむふむ。なかなか難しい問題だニャ
<いい人から一時的に脱却したい…>
普段、周りに気を使い、人の意見に従順に従うACタイプは、無意識下ではその脱却を望んでいます。
そしてギャンブル場では、その願いが叶うのです。
幸か不幸か、ギャンブル場はちょっと民度が低いので、一緒にワル気分を味わえますよねー
確かに、大声でヤジったり、外れ馬券を投げ捨てたり、ものを叩いて悔しがったり、マナー的には「?」がつくことが多いですよね。
いずれにせよ、いい人を演じる必要のないギャンブル場は、ACタイプの方には、自由な天国のように感じるものなのです。
<ACタイプの対策例>
対策①
自己肯定感を高める
ACタイプのあなたには、私達から4つのアドバイスを贈ります。
小さな成功体験を積み重ねよう!
いきなり大きな目標を達成しようとするよりも、小さな目標を段階的に作り、達成していくスタンスを持ちましょう。
どんなに小さくても成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まります。
自分を認めよう!
自分の悪いところだけでなく、良いところも認めてあげることが大切です。
自分ができないことだけでなく、できたところも認めてあげることが大切です。
ポジティブな言葉を使おう!
「できる」「大丈夫」などのポジティブな言葉を自分に言い聞かせることで、前向きな気持ちになり、自己肯定感が高まります。
過去の自分と比べよう!
自分と他人を比べることに、あまり前向きな意味はありません。
比べるなら過去の自分、そして過去より成長した自分に意識を向けましょう。
対策②
AC(いい人)の呪縛を解除する
おそらくあなたはいい人ですから、ここではACの呪縛を、あなたらしく解除していきましょう。
①:まずは「自己主張」のやり方ですね。
所かまわず自分の意見を主張して回るのは、あなたらしくありませんし、無理でしょう。
ですからあなたは、まずは他人の意見に「なるほど」と理解を示して下さい。
その上で、「ちなみに私の意見は…」と自分の考えを伝えるようにするのです。
この形にすれば、相手を否定することなく喧嘩になることもなく、相互理解が進みます。
なるほど
仮に自分の意見がなかったならば、「あなたの話を聞いて、その通りだと思いました」とすれば、それもあなたの意見となります。
なるほど
②:次に、周りに従っているほうが楽だったり、自分が我慢すれば集団が上手く回ると考えがちな癖を、あなたらしく修正していきましょう。
これはとても難しい課題です。
「自分も相手も犠牲にしない方法」を見つけ出さなくてはならないからです。
ネットキャンバスでも挑戦していますが、皆さん、毎回ウンウン唸っていますものね…
とにかく、まずは「誰も犠牲にならないWINーWINの関係」を模索してみて下さい。
それがどうしても出てこなかったならば、今回に関しては相手に譲るのもアリです。
この一連の流れが、あなたらしい「いい人」の理想形となるでしょう。
ん? ということはネッキャンもいい人の集まりなのかワン?
まさか。あんな人もこんな人もいるし…
③最後に、嫌なことは「嫌」と言う習慣をつけて下さい。
いい人とは「嫌と言わない人」ではありません。
嫌と言った上で、互いにとって最適な答えを探せる人なのです。
実際、嫌と言わないことは様々な弊害を生み出しますからね
はい。
自分の心を閉塞させるだけではありません。
相手を逆に苦しめたり、相手や組織の成長を阻害したりもするのです。
参考までに出雲さんの例を出しておきますね
ちなみに、あなたは「嫌」と言っても、最後まで完全に拒絶するわけではないのですよ。
最後まで嫌と言い張るのは「わがままな人」だニャン
状況によっては、「嫌だけど、ここはやってみるよ」と譲歩もできるから「いい人」なのです。
最初から無条件に「嫌と言わない設定」はやめよう、という意味ですわね?
はい。
それではあなたが存在しなくなってしまうからです。
まとめますと、ACタイプは、「現実生活の中で、自分の課題であるACを克服しておこう」となりますね。
ACが改善するほど、ギャンブルに向かう意味が薄れていくことを実感できることでしょう。
⑩欲望タイプ
あなたは「お金」という欲望を、ギャンブルで満たそうとしているタイプです。
欲望タイプは「お金」が優先順位のトップにくるのが最大の特徴となります。
例えば、欲望タイプは、ゲーム性やスリルを楽しんだとしても、最終的に1円でもお金が減ったならば、「最悪だ…」と不機嫌になってしまうのです。
勝負師タイプと似ていますよね?
どちらも「勝ち負け」を重視しますが、欲望タイプはお金の「増減」にこだわる点が異なります。
具体的に言えば、欲望タイプは、どんなやり方でも(たとえ、違法行為でも)、「お金が増えればそれで良い!」と考えます。
また、勝負師タイプが苦労をいとわないのに対し、欲望タイプは「楽してお金を稼ぎたい」が根底にあります。
んーこれは…
はい。厳しい言い方をすれば、甘えん坊タイプです。
幼児性がまだ抜けていないので、早急な心の成熟が望まれますね。
「幼い子供」と書いて「欲望の塊」と読むワン
どぅゆーことー!?
坂本さんのデータによれば、欲望タイプはアウトロー気質で、犯罪者予備軍と言えるほど素行の悪さが目立つそうです。
でも本物の「悪人」は、ギャンブルをする側には回りませんよね?
はい。
「悪人」にとってギャンブルは、させる側となります。
ですから、一時的に欲望タイプに取り込まれてしまうのは、普通の人となりますね。
お金を稼ぐ方法は他にもありますから、ギャンブルに固執しなくてもいいのではないでしょうか?
実際、ギャンブルは、お金を稼ぐのに非効率ですからね
そうなんです。
欲望タイプは、そこに気付くことも大切ですね。
<欲望タイプの対策例>
①幼児性を改善する
通常、幼児性は12歳までの間に様々な発達課題を達成していくことで克服するのですが、残念ながら、もう大人になっているあなたを導いてくれる人はいません。
もちろん遅まきながらでも、幼児性を克服することは可能です
はい。
今は子供の頃より理解力も実行力もあるのですから、本人の「やる気」さえあれば大丈夫だと思います。
ここにそれらの課題を紹介しますので、興味のある方は是非、覗いてみて下さいニャン
また、もうすでに欲望が抑えきれなくなっていて、ギャンブルどころか犯罪に手を出す一歩手前だという方は、こちらを参考にして下さいね
②ギャンブル以外でお金を稼ぐ
欲望タイプがギャンブルでお金を得ようとする理由の1つに、普通のルートでは「面倒くさいし自信がない」というのが挙げられます。
確かに有名タレントになるのも、プロスポーツ選手になるのも、エリートサラリーマンになるのも、ハードルが高いっぱよ!
ですからあなたは、一般の方が躊躇して足を踏み出せない分野に進んでみるのはいかがでしょうか?
そこはライバルが少ない分、チャンスがあるはずです。
具体的には、「ベンチャー会社の起業」や「ニッチな仕事を選ぶ」などですな
ちなみに、グレーゾーンと呼ばれるテリトリーで勝負をかけた人がネットキャンバスにいます。(ただ、紹介はしますが、本当にお勧めはしません…)
あの方は常にリスクを背負っていて、平穏がないからニャン
まとめますと、欲望タイプは、「所かまわず欲望を爆発させない大人の心を持つこと」と、その「エネルギーを健全な方向にぶつけること」になりますね
発達課題を達成できているかをチェックしましょう!
体は、ある程度放っておいても勝手に成長してくれますが、心はどうでしょうか?
答えは「NO!」です。
「環境と自分の意思」によって、心の成長は大きく変わるのです。
オオカミに育てられた少年は、最後まで人間らしい心を持てませんでしたし、優れた環境下でも本人に成長する気がなければ、心は育たないのです。
ふむふむ
むしゃむしゃ
ちなみに、成熟、成長した心は「依存症になれない」ことが分かっています。
この項では、あなたの心の発達度をチェックしていきますが、不安になることはありません。
積み残しがあったならば、遅ればせながら積み込めばいいだけですから。
<エリクソンの発達段階理論>
人生には8つの段階があり、そこには特有の発達課題があるとエリクソンは考えました。
では、それぞれを見ていきましょう。
(1)乳児期(0歳)
乳児期の発達課題は、「信頼」する心を持つことです。
多くの場合、母親から愛情と世話を受けることで達成されます。
逆にここで虐待などを受けると「不信感」が残ります。
人を信頼できないと、お金に頼るのよね~
はい。まさにギャンブル依存になりやすい心理ですね。
まずは信頼できる家族や仲間を作ることが大切ですニャン
(2)幼児期(1歳から3歳)
幼児期の発達課題は、「自律性」を持つことです。
養護されるだけでなく、自分でやってみることで達成されます。
逆に、自分でやらせてもらえなかったり、上手くいかなかったりすれば、「自分に対する恥や疑念」が残ります。
共依存は、この課題に逆行しているわけです
はい。
人に頼らず自分でやってみる。
この気概は依存症の方には必須ですね。
(3)遊戯期(3歳から6歳)
遊戯期の発達課題は、「自発性」を持つことです。
自発的にトライ&エラーを繰り返すことで、責任感も自信も生まれてきます。
この時期に叱られてばかりだと「罪悪感」を持ってしまい、自発性が損なわれてしまいます。
この課題をクリアーしておかないと、自己肯定感を持ちにくいワン
ACタイプの人に、ここの積み残しが多い印象です
もちろん、今からクリアーすればいいだけの話ですね。
(4)学童期(6歳から12歳頃)
学童期は、「学校」という家から離れた活動場所の中で、「勤勉性」を獲得することが課題となります。
親も先生も飴と鞭で宿題なり勉強なりをやらせますが、この時期に未達成だと、「劣等感」を持ってしまいます。
この劣等感が、運で何とかなるギャンブルへ勝負をかけてしまう原因かなぁ
現実世界では絶対に勝てない相手でも、運の世界なら勝つ可能性が高まります。
そしてギャンブルでの勝ちを自己効力感や有能性に置き換えてしまうのです。
勤勉に結果を積み重ねていく人ほど、ギャンブルには頼りません
一発逆転ーっ!
それがいけないのですわよ…
(5)青年期(13歳から20歳頃)
青年期の発達課題は、「アイデンティティの確立」です。
分かりやすく言うと、子供から大人になる際、自分が一体「何者」なのか、そして社会での「役割や立ち位置」をハッキリさせる必要があるのです。
これが未達成のまま大人になると…自分のすべき役割が混乱してしまい、一貫性のない不安定なキャラになってしまいます。
ここがフラフラしていると、ギャンブルに付け込まれる隙を与えてしまうんだニャ
はい。
自分の「やるべきこと」や「やりたいこと」があれば、ギャンブルに入り浸りになる時間はないわけですから。
(6)成人期(20歳から40歳頃)
成人期の発達課題は、社会との「親密性」、つまり良好な人間関係を作ることです。
これは職場の仲間やプライベートでの友人や結婚相手も含まれます。
この課題が未達成だと…「孤独」に苛まれることになります。
社会的に孤独な人ほどギャンブル依存になりやすいんでしたよね?
正確には、「ギャンブル依存になると良好な人間関係を壊す」ですが、フィーネさんの仰るように、逆も言えそうですね。
今からでも良好な人間関係を築けば、ギャンブルへの抑止力になるよ!
(7)壮年期(40歳から65歳頃)
壮年期の発達課題は「生産性」です。
具体的には、自分が成長・成功するだけでなく、次世代へ繋げるための働きかけとなります。
これは自分の子供でも職場の部下でもプライベートの後輩にでも構いません。
未来に貢献している感覚が大切になるのです。
ちなみにこれが未達成だと…「停滞感」を味わうことになります。
ギャンブルで自己成長はできますか?
ギャンブルで周りの人への責任を果たせますか?
ギャンブルで社会貢献できますか?
ギャンブルで次世代へ明るいバトンをつなげますか?
これらの意識がハッキリするほどに、依存症の改善は進むでしょう。
(8)老年期(65歳以上)
老年期の発達課題は、「自我の統合」です。
そして未達成だと…「絶望」です。
ただ、坂本さんのデータによれば、依存症は20代から30代が最も多く、60代以上は1%弱で、殆どいません。
誰しも年を取れば、コーラなどの刺激のある飲み物からお茶に変わるように、心も少しずつ成熟していくのですね。
ではギャンブル依存は、年をとれば自然と治る病気とも言えますね
その傾向はありますが、今苦しんでいる本人やご家族に、「65歳になるまで待ちましょう」とは言えません。
あえてこの世代、1%弱の方に声をかけるなら、「残りの人生を穏やかに満足できるようお過ごし下さい」ということでしょう。
今後の道
さて、あなたは、これからどのように進んでいけばいいのでしょうか?
まずはグラフをご覧下さい
坂本さんの「改善・成功データ」によれば、「習慣」「タナトス」「欲望」タイプの方の多くは、ギャンブルをいきなりスパッとやめています。
対して、「退行」「回避」「AC」タイプの方は、少しずつ段階を踏んでいく方が多いようです。
これは、あなた自身に合ったやり方でいいと思います
例えば、それぞれの対策を行った後、ギャンブルへの嫌悪感が湧いてくれば、スパッとやめたほうが自然でしょう。
実際、全体の55%は、スパッとやめる道を選んでいますな
対して、まだこの記事を読んでもしっくりきていない…、対策をしてもまだギャンブルに行きたい気持ちがあるならば…、少しずつ行く回数を減らすアプローチでいいと思います。
ギャンブルをしていれば、負けが続くことが必ずあります。
そんな時は、
「いやー不快だなぁ。何で自分はこんな不快なことをやっているんだろう? 世の中にはもっと楽しめること、幸せなことがたくさんあるのになぁ…」
こう頭で反芻し、実際にギャンブル場を後にして、快を得られる場所に移動して下さい。
この繰り返しで、自然と行く回数が減っていくはずです。
この形で最終的にギャンブルから離れる人は、全体の25%です
残り20%の人は、「回数が減りはしてもギャンブル自体を止めたわけではない」という方です。
実はこれが「ギャンブルを健全に楽しむ」という道に移行した成功例となります。
ギャンブルを健全に楽しめるようになることも、このカウンセリングの成功なんだね!
はい。
ただし、皮肉なことですが、ギャンブルを健全に続ける上では、「勝った時こそ対策が必要」になります。
例えば、あなたがギャンブルで大勝してしまった時、どうすればいいのでしょうか?
A:脳汁(脳内物質)を堪能し過ぎるとドーパミン中毒になるので、脳をクールダウンさせる働きかけを入れる必要があるのです。
「でもこの「勝ち」で人生が変わるわけじゃないんだよなぁ…」
「これって自分が成長進化したわけじゃないんだよなぁ…」
「今は嬉しいけど、将来に何もつながらないのよねぇ…」
「所詮は運だから何か空しいし、ガッツポーズも恥ずかしいなぁ…」
などの言葉を自分にかけてあげて下さい。
以上のことを守って頂ければ、健全にギャンブルを楽しむ道も選択肢に入ってくるという話ですね
そんなクールダウンはメンドクサイからギャンブルなんていらニャイよ!
そう思う方もいることでしょう。
もちろん全ては自由です。
あなたに合った道を選んで下さいね
まとめ(あなたへの最後のメッセージ)
いよいよこの記事も、終わりを迎えます。
まとめの意味も込めて、あなたに必要なものを2つ言わせて下さい。
1つ目は、「心の成熟」です。
成熟した大人の心を持てば、依存すること自体が不可能になります。
「依存」ではなく「自立・自律」してしまうからです。
実は、この記事の90%以上は、あなたの心を成熟させることに注力してきました。
おそらくあなたには「初めて知ったこと」「気付いたこと」「考えさせられたこと」が複数あったと思います。
それが成熟です。
安心してください。
繰り返し読み、書かれている対策を行うことで、もっともっとあなたの心は成長、成熟します。
2つ目は、「選択肢を複数持つ」ことです。
ギャンブルをやりに行く。
選択肢がその1つしかないから「依存」なのです。
ギャンブルをやり続けるしかない状態が「依存」なのです。
あなたは必ず、他の選択肢を持って下さい。
(仮に、ギャンブル場へ向かうとしても、他の選択肢を持った状態で向かってください)
そして実は、これはギャンブルに限ったことではありません。
人生の全てにおいて言えることでもあるのです。
あなたは日常の中でも、選択肢を複数持って下さい。
AがダメならBで、BがダメならCで進んでいきましょう。
この「1つに依存しない心」を持つことで、あなたの人生は、真の意味で「自由」になれることでしょう。
さて、あなたがこれからギャンブルとは無縁の人生を送っていくのか…。
もしくは「適度かつ健全にギャンブルを楽しむ」人生を送っていくのか…。
それもあなたの自由です。
そのどちらを選んでも、このギャンブル依存症カウンセリングは成功したことになります。
本当にここまでお疲れさまでした。
読んでいて耳の痛いこともたくさんあったでしょう。
それでも最後までたどり着いてくれたことに感謝し、敬意を表します。
あなたの今後のご活躍を期待しています!
では最後に、坂本さんからお預かりしたメッセージを届けてお別れしたいと思います。
坂本さんのアドバイス無しでは、この記事は書けませんでした。
ありがとうございました。
私も昔はギャンブル依存症で苦しみました。
ですからあなたの今の辛さは痛いほどよく分かります。
それでも依存症は克服可能です。
正しいやり方で正しく進めば、必ず「昔は大変だったなぁ…」と笑える日がきます。
大丈夫ですよ。
本質に戻ればいいだけの話です。
私もあなたも、ギャンブル依存症になるために生まれてきたわけではないのですから。